TOP >  最新ニュース >  先週のニュース >  ニュース記事2011年07月29日-h

【ROBOTECH2011】ビルの壁面に取り付いて作業を実施
小川優機製作所の「吸盤戦士のぼる君」

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株式会社小川優機製作所が開発した高所壁面走行作業ユニット「吸盤戦士のぼる君」は、ビルの壁面の診断や補修、改修、塗装、窓も含めた清掃、さらには高速道路橋桁改善などを目的として開発が進められているロボットだ。現状、高所での作業は、屋上から吊り下げたゴンドラに作業員が乗って行ったり、足場を組んで行ったりする必要があるが、命の危険性や費用面の問題などがある。そこで、壁面に貼り付いて作業の行えるのぼる君の登場というわけだ。

のぼる君の最大の特徴は、「吸着無限軌道走行方式」を採用しているところ。要は、クローラに吸着パッドが全28個備えられており、壁面に接する吸着パッド8~10個が吸い付いて最大200kgの吸着力を発生させてはり付くのだ。また、吸着パッドはクローラの回転に合わせて気圧を順次解放する「真空開放方式」となっており、壁面から離れる直前に並んだ2個の吸着パッドのみが大気圧と同じになる仕組みである。アプリケーション(追加装備)の装備は最大130kgまで可能となっており、用途に合わせたさまざまな検査機器や清掃機器などを搭載できるというわけだ。

ちなみに、吸着したクローラを前後進させることで上下の移動を行うのかというと、さすがに落下時の危険性を考慮してその機能は最初から持たされておらず、屋上に設置したウィンチから牽引する形で上昇を行う。下降は自重を使って降りていく(もちろん、クローラを回転させる)。踏破できる段差は最大5cmとなっており、段差があるときは、クローラから壁側へアームが伸ばされた吸着パッドがその前後のクローラと壁面の距離の差をを吸収する仕組みだ。なお、移動速度は最大5m/分=時速0.3km/hである。

のぼる君のコスト代は動力の電気代になるわけだが、1日06時間ほど作動させたとして、約20円だそうである。一般的に300平方メートル程度の建築物の周囲に60日間の期間で足場を作ったとした場合、1平方メートル当たり2000円のコストがかかるそうで、屋上にウィンチを設置するといった点を加えても、かなりお得といえるロボットのようだ。なお同社では、各種作業別のアプリケーション開発の共同研究と事業化のパートナーを募集中だ。

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