TOP >  最新ニュース >  先週のニュース >  ニュース記事2011年07月29日-e

【ROBOTECH2011】アクチュエータひとつで5指が動き、
形状に合わせて柔軟につかめる! ダブル技研「D-Hand」

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7月13日から15日まで開催された、「第2回 次世代ロボット製造技術展 ROBOTECH」。少し時間が空いてしまったが、そこで展示されたロボットたちの紹介の続きをしよう。今回は、ダブル技研株式会社が開発した、ひとつのアクチュエータで5本の指を動かせるロボットハンド「D-Hand Type A5」だ。機構のシンプルな点、アクチュエータ数の少なさから来る低価格な点、同社独自技術による人の手に近い手のひらも含めた包み込むような把持機能を有している点など、おそらく世界でもトップクラスといえる性能を持ったロボットハンドとなっている。

アクチュエータひとつで5本の指を動かせる理由は、各指を天秤型のリンクで逆ピラミッド形状に結合した「協調リンク機構」にある。逆ピラミッドの頂点(手首部分)にアクチュエータを配することでひとつだけで済ますことができ、そのほか部品点数も減らせ、軽量かつ人とほぼ同程度のサイズでロボットハンドを実現できるといったメリットも持つ。指の数は最小2本から自由に設計することが可能だそうで、3本指タイプの「D-Hand Type A3」も共にデモンストレーションを行っていた。

D-Hand Type A5は、さまざまな物体の形状に合わせて安定して把持できる点も特徴のひとつ。それを実現している機構のひとつが、各指に設けられている「四節リンク機構」だ。指のどの部分で物体に接しても、無理してそれ以上力をかけて押しつぶしてしまったりしないようになっている。しかも、指の根元の方で物体に接したとしても、そこでクラッチが切れるようにして完全に動力がその先へ伝わらなくなってしまうわけではない。指先までちゃんと屈曲して優しく物をつかめるようになっているのだ。また前述したように協調リンク機構で5指が連動しつつそれぞれ独立して動くので、指ごとに物体の形状に合わせてつかめるのである。これにより、わざわざ物体の形状ごとに指を動作させるプログラムを変更する必要がないという点も大きなメリット。同じ握り込む動作のプログラムのままで、さまざまな形状の物体を把持できてしまうのだ。こうした点は、複数の形状の物をつかむ必要のある作業において、大いに力を発揮することだろう。

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さらに、ポイントは手のひらにもある。当たり前といえば当たり前だが、人が物をつかむ時は指だけでなく、手のひらも屈曲させて包み込むように動く。同社では把持動作の安定性向上には指に加えて手のひらの協調動作も不可欠であるという点に注目し、手のひらにも協調リンク機構を導入。人差し指と中指は人と同じところから生えているが、薬指と小指は手首に近い位置まで指の付け根が延長されており、可動範囲を広く持たせているというわけだ。それにより、ボールを持つ時なども小指が人の手と同じように指の側面でボールに接する形も取れるのである。ただし、今回展示されたロボットハンドは5指がひとつのアクチュエータで動くという所にポイントを置いていたようで、人の手とほぼ同じ形をしていた。

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