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【ロボットのいる施設を訪ねて】第5回:日本最大級のロボット系
展示エリアと充実した関連イベントが待つ「日本科学未来館」(前編)

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ロボットを展示している施設を訪ねるコラムの第5回。今回は2001年07月にオープンした、来年で10周年を迎える東京・お台場の「日本科学未来館」を訪問した。同館の建設は、1998年にさかのぼる。当時の文部省、通商産業省、科学技術庁(現在は省庁再編成で、文部科学省と経済産業省)の3省庁が合同で臨海副都心地区に「国際研究交流大学村」を建設することを決定。その中に、当時の科学技術振興事業団(現在の独立行政法人科学技術振興機構)が、科学技術創造立国を目指し、科学技術への理解を深めるための拠点として、最先端の科学技術の展示施設として設立することにしたのが、日本科学未来館というわけだ。なお、今回はいつもよりロボット関連の展示が多いので、特別に前編と後編の2回に分け、後編は来月お届けする。

日本科学未来館がどれぐらいロボット関連の展示やイベントが多いかというと、実はロボタイムズの記事を検索してもらうとすぐわかる。科学系展示施設の中では、同館での取材記事がズバ抜けて多いのだ(先端科学だけど、ロボットからは外れるものも掲載しているが)。ロボット系イベントがそのようにとても多いのだが、なんとここ最近、ロボット関連にさらに力を入れるようにしたという。その例として、つい先頃「第4回 ロボット大賞」の誘致に成功したほか、ロボット系のシンポジウムやトークショー、同館友の会のイベントなどが増えているのだ。ロボット系のイベントがない月はもはやないほど。今後は、今まで以上にチェックする必要がある施設なのである。

さて、そんな同館のロボットの専門展示エリアはどこかというと、3階の「EX3 情報科学技術と社会」の中にある「ロボットワールド」だ。中でも目玉というと、やはりここでしか見られない、千葉工業大学未来ロボット技術研究センター(fuRo)所長の古田貴之氏が開発した、未来のモビリティをイメージした8脚車輪型の移動ロボット「Halluc II」(ハルク・ツー)と、直径150cmの球体ディスプレイと左右の3次元型コントローラが特徴的な操縦システム「Hull」(ハル)だろう。Halluc IIは希にイベントでほかの場所に出張することもあるが、Hullは同館にしかないので、まだ見てないという人は、いつか必ず見に行ってほしい。なお、Halluc IIとHullのデモンストレーションは日に2回行われており、実際にHullに座ってHalluc IIを操縦して動かすところを見られる。

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続いては、本田技研工業株式会社(ホンダ)の「ASIMO」のライブショー。ASIMOは各所にいて、今では珍しくないのだが、実はホンダ系の施設以外で初めてASIMOを常駐させたのが同館なのである。初代ASIMOに始まって、現在は新型(2代目)ASIMOが1日2回、デモンストレーションを実施し、小さな子どもたちから外国人観光客まで、喜ばせているというわけである。なお、来月の話ではあるが、1月12日(水)から24日(月)まで、ASIMOのデモンストレーションはメンテナンスのために休止となるので、ご注意いただきたい。その間は、デモの時間帯に科学コミュニケータのkたががロボットの解説を行うという。それはそれで逆にレアである。

そのほか人気なのが、画像認識技術を利用して飛んでくるボールの動きを把握して、0.1秒という瞬間に3本指を180度動かして(閉じて)キャッチする「高速キャッチングロボット」(東京大学石川並木小研究室、セイコープレシジョン株式会社、株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズ)。そのほか、キャッチングロボットにも使われている画像認識のビジョンチップシステム(1秒間に1000枚以上の画像をリアルタイム処理可能)だけを抜き出したペンライトに追従して首を振るメカ、メンタルコミットロボ「パロ」の実機展示(触れることも可能)や、人の声に反応してうなづいたり相づちを打ったりしているように見えるコミュニケーションシステム「インタロボット」なども体験できるようになっている。

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また、同フロアで見逃してはならないのが、ロボットの基礎と歴史を学べるコーナーがあること。「ロボットの動くしくみ」(監修:東京工業大学教授 広瀬茂男氏)コーナーでは、ASIMOからホビーロボットまで多くのロボットに搭載されている、モータの制御機構である「サーボ」についてや、モータが力を出すための「減速機構」と「トルクの必要性」などを体験しながら学べる。歴史の方は、大型パネルの「ヒューマノイドロボット年代記」(監修:早稲田大学教授 高西淳夫氏)。ここを見るだけでも、日本のロボット開発や海外の有名なロボットの歴史を覚えることが可能。おそらく小学生などはロボットは21世紀になって開発されたぐらいの感覚だろうから、1970年代から研究されていると知って驚くのではないだろうか。そのほか、ロボットワールドでは内外のロボット研究者のインタビューを聞ける映像端末なども用意されている。

とにかく、ロボットについての基礎を学びたかったら、インターネットで解説記事を検索したり解説書を探すよりも、ここに来た方が早いというほどである。そのほか、友の会会員(年会費1200円、家族会員2400円)になれば、限定イベントのロボット教室なども参加可能。ロボットについて自分自身が学びたい体験したい人も、お子さんに学ばせたり体験させたりしたいという人にもオススメの施設が、日本科学未来館なのである。

後編では、手術支援ロボットや、探査衛星、しんかい6500などほかのフロアにいるロボットたちを紹介。実は、ロボットワールドだけに収まっていないのが、同館のロボットたちなのである。

Vol.2の掲載ですが、当初、2011年03月18日に予定していたシンボル展示「ジオ・コスモス」のリニューアルを取材してから掲載の予定でしたが、東北関東大震災で日本科学未来館が被災したため延期させていただきました。取材が完了後、改めて掲載させていただきます。
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