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世界初のAndroid OSで動くロボット「RIC Android」
アールティとブリリアントサービスが共同開発

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9月28日に開催された開発者向けのイベント「Google Developers Day」の東京会場(東京国際フォーラム)において、株式会社アールティと株式会社ブリリアントサービスは、共同開発した身長120cmの大型二足歩行ロボット「RIC Android」を披露した。Google社が開発した「Android OS」で動作する世界初のロボットであり、またAndroid OSのイメージキャラクターを使用している点も特徴だ。午前中はウェルカムロボットとして参加者を出迎え、午後からはアールティブースにて愛嬌を振りまき、多くの人だかりを作っていた。

RIC Androidは、アールティが独自に開発して販売している1mオーバー級の二足歩行ロボット「RIC」(リック:Robot Inside Characterの略称)をベースに製作されている。アールティのマスコットキャラクターとして、各種イベントに登場している「ネコ店長」もRICベースのロボットの1機だ。正確には、この秋に発表を予定していたRICの進化版「RIC 2」がベースである。RICとの主立った変更点は、上半身のフレームの設計で、かなりガッチリした仕様に変更されている。リンク機構を採用した脚部は、腰の取り付け位置と足裏のサイズ以外は変更していない。RIC Androidは、そのRIC 2のプロトタイプといえるフレームを使用しているというわけだ。なお余談だが、当初はRIC 2にバージョンアップしたネコ店長で「つくばチャレンジ」(自律移動型ロボットによる長距離移動を内容としたロボット技術コンテスト)に出場し、歩行モーションのみで完走を目指していたそうである(車輪型が大多数)。しかし、Google Developers DayでのRIC Android製作の話が持ち上がり、スケジュール的に両方をトライするのは難しかったため、つくばチャレンジは来年に挑戦することにしたということだ。

RIC Androidは、身長が角部を含めて約120cm(口を開けられるので、その時は10cmほど高くなる)あり、サービスロボットしては大型の部類に入る。身長120cmがどのぐらいかというと、人なら小学校の低学年ぐらいで、初代ASIMOと同じだ(現行の新型ASIMOは130cm)などがある。それに対し、重量はわずか14kgと非常に軽い。ベースのRICの特徴のひとつである「大型なのに軽量」という点はRIC Androidでも踏襲されている形だ。ちなみに同じ身長の初代ASIMOは43kgある。RICのフレームは、脚部にリンク構造を使うなどして軽量化を実現。RIC 2は、上半身の構造がRICとはかなり異なり、脚の取り付け位置も異なる。脚部に関しては足裏のサイズ以外はRICと同じである。

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ボディは、万が一人にぶつかったりしてもケガをさせないようにウレタンと発砲スチロールという柔らかい素材を使用。Google Developers Dayは子供が入場できないイベントだったが、この後に予定している一般の展示会ではもしかしたら子供が飛びついてくるような可能性もある。しかし、そんな時でもボディ全体が柔らかい上にとがった箇所のないデザインで、なおかつ重量も軽いので、安心というわけである。こうした安全性の高いロボットであるからこそ、RIC Androidは触っても問題ない。もともと、ベースロボットRICのコンセプトとして、「子供も大人も抱きついたり触ったりできるロボット」というものがあり、RIC Androidもそのように作られているというわけである。

ちなみに、機体はかなり横幅があるので大柄に見え、大変そうだがちゃんと歩行は可能。腕も肩の部分(腕の付け根)で回すことが可能だ(動画をご覧いただきたい)。また、ハッチ(口というか頭部というか)をパカっと開くことができ、その中には制御機器やスピーカがあり、その奥にはパイロット(?)らしき手のひらに載せられるサイズの小型のAndroidが収まっているという具合だ。音声はいくらでも変更が可能だが、今回はロボットっぽい感じの声で主にあいさつしていた。

内部的な話に移ると、RIC Androidのコントローラには、ARMコアを搭載したパネルコンピュータ開発プラットフォーム「Armadillo-500FX」(株式会社アットマークテクノ製)を採用している。Android OSの動作実績があることが理由だ。そして、RICにブリリアントサービスが開発したAndroid OS用ロボットモーションコントローラを搭載して、全身の制御を行っている。また、RIC AndroidはWi-Fi無線機能も備えており、Android OSを搭載したPDAからのリモートコントロールも可能。実際に会場では、訪れた人が歩かせたり口を開かせたりして楽しんでいた。

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Android OSをロボットのコントローラに採用することの利点について、アールティ代表取締役でRICの開発者である中川友紀子氏は、オープンソースであること、マルチプラットフォーム対応のOSであることを上げる。PCやPDA、携帯電話など幅広くカバーしており、ソフトウェアの互換性が非常に高い点を魅力に感じているという。これらを利点としているのは、今後、さまざまなジャンルのソフトウェア開発者がサービスロボット分野に参入しやすくなるということが理由だ。ロボットによるサービスが社会において一般的になっていった時に、ソフトやモーションデータをシェアしやすいということまで、中川氏は想定しているのだ。

ちなみに、RIC Androidは今回披露しておしまいというわけではなく、今後はレンタルサービスを行っていく。ロボットのレンタルサービスは複数の企業が行っているが、RIC Androidのような大型機は料金がそれなりにするため、あまり表だって金額を発表していないのが通例だが、RIC Androidに関しては別。輸送費、旅費などを含まない形で、オペレータ付きで52万5000円/日(税込)だ。Android OSを使用した端末の販売促進イベントなどには、もってこいのキャラクターといえるだろう。さらに、今後はもっと小型のRIC Androidや、Android OSで動作する多様な形態の教育用ロボット機器も開発するという。Android OSのソフトウェア開発教材のプラットフォームとしての展開も計画中だ。

RIC Androidの開発コンセプトは、クラウドコンピューティングの実世界へのインターフェース端末として、サービスロボットの開発用プラットフォームとなること。中川氏は、ロボットを活用した具体的なサービスの開発をもっと加速させたいと考えているという。それには、RIC Androidのような、PCで動作していて、なおかつマルチプラットフォーム対応でソフトの開発費を抑制できるなどの特徴を持つAndroid OSを搭載した、サービスロボット開発プラットフォームが必要というわけだ。

具体的なサービスもすでに計画しており、アールティとブリリアントサービスの2社は今後もコラボレーションを続け、2011年04月までにモーションをクラウドに集めてデータベース化し、それらをダウンロードしてロボットの機能を拡張できるようなサービスを提供するとしている。最終的には、そのサービスをさらに押し進め、ヒューマノイドタイプを初めとする各種サービスロボットのモーションやアプリケーションを提供するサービスを構築する計画だ。具体的には、RIC Androidが、商業施設内で案内役として活動し、来場者からの質問に答えると同時にデータ収集端末として活躍したり、家庭などのプライベートな場面での利用ではロボットに搭載した各種センサを利用したライフログ端末としての役割をこなしたりするといったことを想定している。音楽配信やスマートフォン用のアプリケーション配信サービスのロボット版というイメージで、モーションやアプリケーションの配信サービスというビジネスモデルも計画しているという。

RIC Androidは今後も展示会に登場する予定だが、次の機会は11月05日・6日に大阪ATCで予定されている関西オープンソースフォーラム。そして12月01日から3日までパシフィコ横浜で開催される組込み技術展の日本Androidの会ブースでも目にすることが可能だ。今回は、見に行けなかった人も、次回はぜひ自分の目で確かめてみてほしい。

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