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【ロボット業界で活躍する女性たち】第1回:株式会社アールティ代表取締役
中川友紀子氏 Vol.1「10代の頃に作りたかったのはサイボーグ!」

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ロボット業界はいうまでもなく、男性の比率が多い。だが、そんな中で活躍している女性も今では決して少なくない。そこで、ここではそんなロボット業界で活躍する女性にスポットを当て、何がきっかけでこの世界に踏み入れたのか、そしてどんな活躍をしているのかといったことを伺ってみる。ロボット業界で働きたいと思っている10代の女の子たちにもぜひ読んでもらいたい。どんな先輩がいるか、どうやって女性の少ない中で今の立場を確立したのか。ヒントをつかんでもらって、ひとりでも多くロボット業界で活躍する女性が増えてくれれば幸いである。なお、当コラムは、インタビュー形式でお届けする。

第1回は、オリジナルロボットの開発と販売、ロボットショップの経営、さらにはロボットの競技会や子供向けイベント、講演会などで多忙極める株式会社アールティの代表取締役の中川友紀子氏にご登場いただいた。4回に分けてお届けする(当コラムは、今回を除き、以降は毎週月曜日に更新)。Vol.1は、10代の頃からロボットに出会うまでの話を聞いてみた。(株式会社アールティにて収録)


─男性の場合、僕らの世代だとガンダム、もう少し上の世代だとアトムとか鉄人28号という感じで、だいたい世代でロボットに興味を持った子供の頃のきっかけのパターンがありますが、中川さんは何がきっかけだったのでしょう?

中川氏:そういう影響を受けた作品ということでしたら、「サイボーグ009」ですね。高校生の頃はロボットというよりも、サイボーグを作りたいと思っていました。だから、人工臓器とかのバイオ系を目指していたんです。

─石ノ森章太郎先生の名作ですね。悪の組織に改造された9人のサイボーグ戦士が、組織を裏切って、そして戦うという。やっぱり009がかっこよかったんですか? キャラクターに惹かれるのは女性らしいなと思います。

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中川氏:いや、それが、キャラクターはキャラクターなんですけど、009たちサイボーグ戦士たちを生み出したギルモア博士に憧れていまして(笑)。009も好きですけど。

─(笑)。普通、女性なら009のファンですよね? ギルモア博士に憧れて、自分でサイボーグを作ってみたくなったというわけですか(笑)。

中川氏:ギルモア博士、正義に目覚めますけど、でも009たちの開発(サイボーグ化手術)にも参加しているから、実はマッドサイエンティストなんですよね(笑)。

─もしかして、女マッドサイエンティストになりたかったんですか(笑)? 家族や友人を寝ている間とかに勝手に改造したかったとか?

中川氏:いや、さすがにそれは(笑)。いくらなんでも、マッドサイエンティストは目指していなかったですね~。

─それにしても、我々の世代で、女子高校生がバイオ系を目指すというのは、当時は少なかったですよね?

中川氏:当時は確かに、メカにしろバイオにしろ、女性の仕事とは思われていなかったですからね。私より10歳年下なら女性研究者は増えていますけど、ロボット系の研究者は私の世代だと全国に2~3人でしょうね。

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─高校生の頃にそれだけ明確に、しかも当時の女性があまり注目しないような分野を目指すということは、中川さんには元々、理系的資質があるようですが、ご両親の影響とかあります?

中川氏:具体的に何がっていうのはないですけど、実家が金属加工業なので、もの作り系ですね。だから、機械油の臭いとかまったく抵抗ないです。むしろ好きなぐらい(笑)。

─機械油中毒だ(笑)。でも、同じ理系でも、バイオ系とロボット系では全然違いますが、何がきっかけで路線変更したんでしょう?

中川氏:理数系だけど、実は数学も物理も苦手だったので(笑)、バイオ系の学部に入れなくて、電気工学科に入ったんですね。それで、大学の1年生の時にサークルの勧誘の時にマイクロマウスに出会ったんですよ。

─それが最初のロボット系との出会いというわけですね。当時は、大会とか出たんですか?

中川氏:いや、それが当時はものすごい敷居が高くて。もう、走らせているというだけで、その方たちは神様だったんですよ。ノリコというマウスがあったんですけど、憧れのロボットでしたね~。なにしろ、当時のマニュアルといったら雑誌のトランジスタ技術ぐらいしかないし。それも専門用語だらけで超難解。パーツに関しては秋葉原で揃えられたけど、ソフトの開発環境がとても高くて、学生の身分では買えなかったですね。だから、プログラムを書くところまではいけなかったんです。

─それが今や、自分の会社でマイクロマウスの組み立て完成品のスターターキット「Pi:Co」(正確にはハーフサイズ・マイクロマウス)を発売されてますよね。

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中川氏:アールティを始めてから、またマイクロマウスに戻ってきたんですけど、本当にこの競技はロボットの教材として素晴らしいんですよ。マイクロマウスに取り組むには、メカ、電気、ソフトと、多数の知識を必要とするので、ロボットの基礎学習にはもってこいなんです。

─なるほど。ロボットの勉強をしたかったら、まずはマイクロマウスと。それを積み重ねると、RIC(アールティのマスコットのネコ店長の中味である、同社が開発・販売のオリジナルロボット)のような1m以上もあるロボットも開発できるわけですね。本当にさまざまな分野を総合させているから、大変だと思います。自分みたいに、端から見ているだけなら楽ですが(笑)。

中川氏:範囲が広いので大変なのは事実ですけど、自分としては楽しいですね。ただ、学ぶ時には浅く広くになってしまいがちなので、そこは学生さんたちも注意する必要があります。本来は、その浅く広くの中から、ここっていう専門を決められるといいんですけど。

─さすがは、生徒たちに教えていただけありますね。重みがあります。(以下、Vol.2に続く)

Vol.2は、8月16日に掲載予定。UNIXとの出会いや研究者として画像処理に従事していた頃、そしてロボットへと移行していった頃のお話などをお伝えする。また、大学でモテモテになりたい女の子のための、中川氏秘伝の(?)学部の選び方も伝授。お楽しみに。

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