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「ビュートローバー」でものづくり、そしてプログラミングを学ぼう!
第1回:ビュートローバーと著者紹介!(後編)       近藤道隆

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【その昔はPCも高価で低性能、インターネットもなかった】

大阪工業大学ものづくりセンター(MONOLAB.)の近藤隆路です。第1回の後編、ロボットづくりがどれだけ変わってきたかについて、少しお話ししてみたいと思います(前編はこちら)。私がロボットに興味を持ったのは小学生(1992~94年くらい)の時でした。テレビで見たロボットコンテスト(確か箱にピンポン玉を入れる競技だったと思います)に心奪われ、「どうやったらこんな面白そうな大会に出ることができるんだろう? 僕もやってみたい」と父に相談したことを覚えています。

しかし当時はロボットやプログラミングについて小学生、中学生が学べる環境がほとんどありませんでした。当時のPCはとても高価で、今のように家庭に1台以上という具合に普及はしておらず、何人かにひとりが持っているような時代でした。そのため、プログラムを作りたくても作ることができません。しかも今のパソコンと比べると性能がとても低かったのです。

さらにインターネットが一般に普及していませんので、全国のロボットコンテストの情報を調べることもできません。小学生がせっかくロボットに興味を持っても、チャレンジするにはあまりにも時代が追いついていなかったのです。そのため、中学生になるころには興味が音楽に移ってしまい、高校生まで吹奏楽部に所属してトランペットを吹く毎日でした。

しかし、2002年に大阪工業大学に進学してから、再びロボットに興味が向かいます。ロボットコンテストに出場するクラブに参加し、そこでやっと私のロボコン出場の夢が叶うことになったのです。ものづくりセンターの前身である工作センターでロボットを作り、チームのメンバーたちとさまざまなロボットコンテストに出場し、ものづくりやロボットの楽しさを知った時期でもありました。

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さらにちょうどその頃、自分がコンテストに参加し出した1990年代の終わりから2000年代の序盤は、全国各地で新しいロボットコンテストが始まった時期でした。二足歩行ロボットのバトル競技会の最高峰「ROBO-ONE」(2002~)、要救助者に見立てた人形を被災した町(ステージ)から助け出す「レスキューロボットコンテスト」(2000~)、2050年に人間のサッカーチームにロボットのサッカーチームで勝利することを目標にはじまった「ロボカップ」(1997~)、中学生のロボコン少年少女にとっての甲子園「創造アイディアロボットコンテスト」(1999~)などです。また、それ以前からも開催されていた「全日本ロボット相撲大会」(1989~)「かわさきロボット競技大会」(1994~)などの15年から20年もの歴史を持つ有名なロボコンも、2000年前後から参加者が爆発的に増えていったのです。

これらのいくつかの大会には、同じ大学の友人たちとチームを作ってロボットを製作して実際に参加してきました。例えば左下の4足歩行型のロボットは、2004年の第4回レスキューロボットコンテストにチーム「SAVER大工大」で仲間と出場した際の機体です(アップはこちら)。動画もありますので、ぜひご覧ください(こちら)。

また、第11回(2004年)および第12回(2005年)かわさきロボット競技大会に出場した際のロボットがこちらです。2005年の第4回ROBO-ONE Jr.でロクスリー賞をもらったのが、友人と作成した4軸(モーターの数が4個)の2足歩行ロボット「シンプルファイター」です(こちら)。シンプルファイターでは数々の競技会に参加し、またその後に作った二足歩行ロボットたちには「RB2000-SF」(JR PROPO製「RB2000」ベースの機体)や「Robovie-X SF」(ヴイストン製「Robovie-X」ベースの機体)という具合で、思い出としてシンプルファイターのSFをつけたものです(Robovie-X SFの画像はこちら)。

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最新作は、冒頭の写真で関西四天王のひとりであるナカヤン氏の人気ロボット・ニワトリケンカ番長「レグホーン」と対峙して背を向けている機体です(アップはこちら、動画はこちら)。市販キットをベースに改造したのではなく、フレームを一から自作している完全にオリジナルの機体となっています。ちなみに動画では、HiRossi氏製作の「Cyclops-x」という黒くてなかなかカッコいい機体と、後述する「ロボファイト」(その第11回)というロボットバトル大会で闘っています。

話を戻しまして、ロボコンが増えていった理由ですが、それは1990年代の後半に入ると、安定した動作と使いやすいWindows搭載のPCが家庭に普及したことが大きな要因のひとつです。その普及により、ロボットの製作やプログラミングを以前と比べてとても容易に行なえるようになったことが、ロボットコンテストへの参加者を増やしたというわけです。私自身も自分のノートPCでロボットを設計したり、それを制御するプログラムを作ったりと大いに活用し、ロボットコンテストに出場したものです。

また、インターネットの普及も大きな要因でした。それまでは図書館に行くか、それでダメなら書店で高額な専門書や雑誌を購入するしかなかったわけですが、インターネットで知識を持った詳しい人たちが情報を発信するようになり、また各種コンテスト自体も情報を発信するようになります。まだ今ほど検索サイトが充実していなかった時代ではありますが、それでも桁違いに情報の入手が簡単になったのは事実で、それも参加者を増やした大きな要因だったと思います。

【2010年代、ものづくりを小学生から学べ、チャレンジできる時代が来た!】

21世紀もいつの間にか10年が過ぎ、2011年となりました。全国各地のロボットコンテストも随分と増え、今や毎周のように土日はどこかでイベントが開催されているほどです。しかも、小学生や中学生が参加できるロボットコンテストもどんどん増えています。

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中でも増えたのが、二足歩行ロボットの大会といえるでしょう。まさに驚くほどで、今では首都圏以外でもいろいろな大会があります。例えば、ビュートローバーを開発したヴイストンも、大阪で「ロボプロステーションチャレンジカップ」(2007~)という大会を年2回開催しています。ロボット製作の初心者が参加しやすいようにと、機体重量制限を設けたり、初心者しかエントリーできないクラスなどを設けてあったりします。また、いち早く二足歩行ロボットの大会を関西で立ち上げて2005年から行っているのがロボットフォースで、練習会の「ロボゴング」、競技会の「ロボファイト」、演技系ロボコン「ロボスター」などがあります。

そのほかにも、二足歩行ロボットの自律競技にはじめて取り組んだ姫路科学館の「姫路ロボチャレンジ」(2005~)、ボトルトラクション(荷物運び)やサイコロシュート、かるたなどロボットバトル以外の競技の可能性を開いた「わんだほーろぼっとかーにばる」(2006~)、世界初のロボットによるプロレスを実現した「できんのか!」(2008~)など、今では趣向を凝らしたものも多数あります。さらに、山形の「ナガレンジャーファイティングフェスタ」、名古屋の「ROBO★CHAMP」、香川の「Robo Country IV」、福岡の「YOKAロボ」など、全国各地で大会が行われています。

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そして2009年からは、「電子工作コンテスト」という少し変わったコンテストもスタートしました。ロボットのアイデアや性能を競うロボコンではなく、電子工作のアイデアや性能を競う「電コン?」とでもいうべきコンテストです。ロボットや車、電化製品の中に押し込まれ、なければロボットはもちろんあらゆるものが動作しないのになぜか脇役的な扱いである電子回路を題材にした、華やかな雰囲気のロボット作りに比べてあまり目立たない電子工作が主役となるコンテストがついにできたわけですね。全国の工業高等学校、工業大学の電気科、電子科のみなさん、我々が主役になる日が来ましたよ!! 大阪工業大学電子情報通信工学科卒業の私はこんなコンテストを待っていました!

また、ものづくりを学びたい小学生、中学生、大学生を応援する施設も充実してきました。手前味噌になってしまいますが、私が所属する大阪工業大学ものづくりセンターでは、ロボットコンテストに限らず小型の電子回路から、車や飛行機などの大きなものまで、学生のものづくりを応援しています。工業高等専門学校や工業高校は各種ロボット大会に参加していますし、最近は普通科の高校でもロボット系のクラブがROBO-ONEなどに参加していたりもします。

さらには、中学校にもロボット系のクラブができ始めていますし、レゴマインドストームNXTを利用したロボコンには、小中学生たちが大挙して参加しています。学校以外にも一般の企業や団体が運営するロボット工作教室が全国各地で開かれるようになり、ロボットユーザーのコミュニティも活発になっていますね。理科離れが問題視されていますが、実は日本全国各地で技術立国日本の将来を担う小、中、高、大学生への応援は行われています。将来を不安視する方も多いのですが、必ずしも未来は暗いばかりではないんじゃないかと、私自身は現場にいてそう感じています。

といったところで今回はここまでとさせていただきます。いよいよ次回からはビュートローバーの解説です。まずは組み立てから解説していきますので、楽しみにしていてください!

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