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多脚型専門の障害物走競技「KONDOランド」
第1回リポート・体験感想&第2回結果報告

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去る12月23日および1月23日に、秋葉原の近藤科学株式会社の直営店KONDO ROBOSPOTにおいて、新イベント「KONDOランド」の第1回および第2回が開催された。多脚型ロボット向けの競技で、障害物コースを1台ずつトライして計測タイムで競うという内容だ。第1回のリポート並びに体験してみた感想、そして行われたばかりの第2回の結果報告をする。

KONDOランドは、近藤科学製もしくはROBOSPOTオリジナルのサーボモータのみを使用し、重量3kg以下の人型以外の形状をしたロボットであることが参加条件。折りたたんだ状態で横幅×奥行き×全高がすべて30cm以内で、フレームは近藤科学製か自作、または許可されたメーカーのものを利用できるというレギュレーションとなっている(マイコンボードの制限はなし)。

競技の詳細な内容だが、まず制限時間が3分。コース外に落ちた場合は1ペナルティで復帰できる。1ペナルティで10秒の加算だ。1回のトライアルで10回のペナルティまでが許される。ゴールできない場合は、どのアトラクション(障害物)まで到達できたかが記録される。同じアトラクションの場合は、ペナルティの少ない方が上位というわけだ。そして、挑戦者を待ち受けるアトラクションは6種類。途中でコースが分岐するため、5種類しか通らずに済む場合もある。各アトラクションの内容は以下の通りだ。

第1アトラクションは「がったんシーソー」。スタート地点直後に用意されており、全長700mm×全幅500mmのシーソーである。前半は上り坂なので軽すぎる機体は登っていくのが難しく、中間地点を過ぎてシーソーが一気に反対側に傾いて今度は下り坂になるので、その時の衝撃も油断大敵。重心が高めだとバランスを崩しやすく、コース外に転落する可能性もある。しかし、アトラクションとして見た時、今回の中では難易度5段階中の最も簡単な1。

第2アトラクションは「マジックウォール」。全長1000mm×全幅600mmのコースの上に、3台の押し出し用のロボットが挑戦者のロボットの通行を妨害するという内容だ。押し出し用ロボットを落としてしまっても1ペナルティになり、ここは小型ロボットの方が有利。難易度は2。

第3アトラクションは、「モータンハウス」。全長1200mm×全幅1200mmのトンネルで、オペレーターは直接見ずにそこを通り抜けなければいけない。しかも、2箇所ほど床が抜けており、落下する恐れがあるのだ。ただし、落下しても真下はコース外ではないので、うまく着地してトラブルも発生しなければ、そのままコース分岐ということで続行可能。ここから、下コースと上コースに分かれるのだ。難易度は3。

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モータンハウスで落下せずに上を通った時に次に来るのが、第4アトラクション「ぐらぐらブリッジ」だ。全長700mm×全幅400MMの板が橋のようにかかっており、橋の中心を通っていかないと左右に回転してしまい、下に落下してしまう。足を交互に出すような歩行モーションでもバランスが崩れるので、左右対称のモーションで静かに前進するのがコツ。ここを突破した後は、急坂で降る形となり、ぐらぐらブリッジのゴール付近で下に落下した方がもしかしたらタイムロスは少ないかもしれない。ここは難易度4。

モータンハウスもしくはグラグラブリッジで落下すると待ち受けているのが第5アトラクション「ぐるぐる海峡」。全長1000mm×全幅900mmのスペースにスポンジ球が敷き詰められており、しかも下にターンテーブルがあって勢いよく回転していることから、そこにはまると脱出が非常に困難。ぐらぐらブリッジを落ちずに突破するのが一番で、もし落ちるとしてもターンテーブルを越したぐるぐる海峡エリアの出口に近い辺りなら、まだタイムロスは少ない。難易度は5。

最後、第6アトラクションは「逆行ストリート」。ここも難易度は5。全長700mm×全幅500mmのベルトコンベアが進行方向とは逆に回転しており、まっすぐ直進しないと、すぐに戻されてしまう。絶妙な操縦テクニックが要求されるのだ。

今回は10選手が参加。それぞれ趣向を凝らしており、足の数は4脚、5脚、6脚の3タイプがあった。5脚というのは、人型のKHRシリーズなどを利用した機体で、頭部用のサーボモータで尻尾もしくは5本目の脚としている。3脚では安定感的に不利、7脚以上は重量とサイズが増すだけなので、少なくともKONDOランドに関してはこの3タイプ以外はあり得ないといっていい。参加10選手のロボット名と脚数は以下の通りだ(50音順)。なお、ホビーロボットバトルの始祖ともいわれる伝説的なマンガやアニメの「プラレス3四郎」の作者のひとりである神矢みのる先生も今回は、自身の作中で登場した脇役ロボット「キング・カニカン」にちなんだ「プチ・カニカン」で出場している。

●4脚
・流鏑馬(やぶさめ)(motaさん)
・ワニワニ(KENTAさん) ※尻尾1本、頭もあり
●5脚
・BLACK TIGER L45(IKETOMUさん)
●6脚
・RT磯工(鈴木聡さん)
・磯工レスキュー(尾花健司さん)
・スタローン(登坂博和さん)
・Tic-Tac(チクタク)(網野梓さん)
・H.A.R.P.00“YASHIGANI”(梓みきおさん)
・プチ・カニカン(神矢みのる先生)
・メタリックバイオ(森永英一郎さん)

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このように6脚が多かったわけだが、コンセプトはそれぞれ異なり、側面に脚を伸ばして全高を抑えた這いつくばった磯工レスキューのような機体もあれば、メタリックバイオのように脚の向きや曲げ方を変えることで全幅・全長・全高を変化させられる機体、脚は6本だが左右の2本を1組として少ないサーボで効率よく動かしているTic-Tacなど、第1回ながら参加ロボットの多様性があり、見ているだけでも楽しい大会となった。

タイムトライアルは基本的に全員2回行い、希望者だけ3回目を実施した。最終的に、ゴールに到達できた参加者は今回は出ず、最終第6アトラクションの逆行ストリートにトライしたところでギブアップが3台、というとろであった。結果、優勝はノーペナルティで逆行ストリートまで到達した磯工レスキューの尾花さんとなった。2位は、近藤科学製の市販品4脚ロボット「カメ型ロボット01」の生みの親のひとりである同社開発スタッフの登坂さんのスタローン(カメラによる遠隔操縦機体)、3位は少ないサーボで効率よく動かす網野さんのTic-Tacとなった。総合結果は以下の通り。ロボット名(オペレーター名)、到達したアトラクション名、ペナルティ数だ。なお、ぐるぐる海峡とぐらぐらブリッジは到達アトラクションとしては同じ扱いとなり、ペナルティ数の差で順位が決められている。なお、ペナルティ数は2回の合計。3回トライした選手のペナルティの合計に関しては、成績のいい2回の合計という具合だ。

【総合結果】
1位:磯工レスキュー(尾花健司さん)/逆行ストリート/0
2位:スタローン(登坂博和さん)/逆行ストリート/2
3位:Tic-Tac(網野梓さん)/逆行ストリート/10
4位:H.A.R.P.00“YASHIGANI”(梓みきおさん)/ぐるぐる海峡/2
5位:メタリックバイオ(森永英一郎さん)/ぐらぐらブリッジ/4
6位:ワニワニ(KENTAさん)/ぐるぐる海峡/7
7位:BLACK TIGER L45(IKETOMUさん)/ぐるぐる海峡/13
8位:流鏑馬(やぶさめ)(motaさん)/モータンハウス/15
9位:プチ・カニカン(神矢みのる先生)/モータンハウス/15
10位:RT磯工(鈴木聡さん)/マジックウォール/10

なお、ゴール到達者が出なかったことに対してROBOSPOTのスタッフは口を揃えて「がんばった甲斐がありました!」とコメント。楽しんでもらいたい反面、「ゴールされてたまるか!」という、参加者対スタッフということで内心燃えているようで、選手イジメ(?)ができて楽しかったようだ。

また、1月23日に行われた第2回はスケジュールの都合上、直接の取材はできなかったのだが、結果を併せてお伝えしたい。11台が参加し、今回は新たにボーナスポイントというルールも採用。されたコースの各所にスイッチがあり、それを押した数でボーナスポイントが加算されるという具合で、一番たくさんポイントを貯めた人にはベストポイント賞が与えられるというルールである。そして、「Tic-Tac2」で挑戦した網野梓さんが2回目のトライアルで2分2秒のノーペナルティで見事ゴールに到達! 2位はメタリックバイオの森永英一郎さん(ぐるぐる海峡に到達、ペナルティ1)、3位磯工レスキューの尾花健司さん(ぐらぐらブリッジに到達、ペナルティ1)となった。そしてMVPには森永さんが輝き、サンライズからの特別な景品が用意された。ボーナスポイント特別賞は、「ガルタン」で参加したくままさんが受けている。

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それから、1回目の取材で記者もカメロボ01で体験させてもらったのだが、実はカメロボが非常にこの競技に適した機体であることを確認。モータンハウス突破まではするすると行けて、しかも1分ぐらい。体験操縦をした他の人も同じぐらいのタイムだったので、カメロボ01の素性の良さが改めてわかるという具合。ただし、脚が短くて体高(お腹の下)がとても低いため、ぐるぐる海峡の突破は無理。しかし、ぐらぐらブリッジでは、左右交互に脚を動かすモーションのため、バランスが取れずに橋が回転してしまうという問題がある。左右の動きを同期させる歩行モーションを作成すれば、クリアできそうである(逆に重心が低いことが橋を回転させないのに役に立つ)。カメロボ01ユーザーの方は、ぜひ次回はトライしてもらいたい。

第3回も予定されているようなので(2月19・20日が第24回KONDO CUPなので、3月開催?)、多脚型ユーザーの方はぜひ参加を検討してみてはいかがだろうか。また、多脚型に興味を持った人は、カメロボ01でぜひ体験操縦してみよう。歩行者天国が復活した秋葉原、ぜひROBOSPOTにも足を運んでもらいたい。

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