サブカテゴリアイコン-記事一覧 サブカテゴリアイコン-特集1記事一覧

TOP >  特集 >  その1:「ビュートローバー」でものづくり、プログラミングを学ぼう! >  第2回:ビュートローバーを組み立ててみよう!(前編)

「ビュートローバー」でものづくり、そしてプログラミングを学ぼう!
第2回:ビュートローバーを組み立ててみよう!(前編)    播田将樹

画像01
【初めに自己紹介です!】

みなさん、はじめまして。今回、大阪工業大学ものづくりセンター(MONOLAB.)の近藤隆路に代わり第2回を担当いたします、大阪工業大学ロボット工学科2回生の播田将樹(はりた まさき)と申します。

近藤との関係はといいますと、大学で授業を習っています。そのほか、ロボットプロジェクトの監督として指導してもらっています。とてもお世話になっている、いわば師匠ですね。そんな近藤の役に立ちたいと思い、今回、第2回の担当をすることにしました(師匠思いのいい弟子ですよね?)。文章を書くというのは、正直、得意ではありません! ですが、みなさんのお役に立てるように尽力しますので、最後までお付き合いいただけるよう、よろしくお願いいたします。まず前編はビュートローバー(画像02)の動力機構であるギヤボックスの製作を行います。後編では、ビュートローバー本体を製作し、ギヤボックスを搭載して実際に動作させるところまでを解説する予定です。

【まずは工具確認をしましょう】

それでは、いよいよ製作に移りましょう! ……とその前に、今回使用する工具を確認したいと思います。早く製作をしたい気持ちをお察しいたしますが、間違った工具で製作をしてしまうと、後々面倒くさいことになることもあります。おろそかにせず、まずは工具をしっかりと確認をしておきましょう。

まずは、2番ドライバー君です(←君付けなのは気にしないでください)。簡単にいえば、「ねじ回し」です。どなたもご自宅に1本ぐらいはありますよね? もしくは1回ぐらいは使ったことがあるはずです。でも、どんなドライバーでもいいというわけではありません。ここで注意してもらわなければならないのは、「2番」のドライバーだということです。ドライバーにはサイズがいくつかありまして、この型番はそのドライバーが回せるネジの大きさを表しています。それを考えずに適当にドライバーを使っていると、ネジの頭が痛んで回らなくなったりしますので注意しましょう。

画像03

そしてもうひとつが、プラスチックニッパーさんです(←「君付け」と同様に気にしないでください)。これは、今回の「ギヤボックス」を作る時に使用します。ニッパーにも種類がありまして、今回使っていただきたいのは「プラスチック」ニッパーです。その名の通りで、プラスチック製のものを切る時に使います。プラモデルを作ったことがある人は、使用経験があるのではないでしょうか(画像03)。それでは、いよいよ製作していきましょう!

【最初は「ダブルギヤボックス」の製作から!】

まずはビュートローバーの箱を開封してみます。いろいろなパーツが入ってますね(画像01)。「ダブルギヤボックス」は株式会社タミヤ製で、プラモデルのような箱がそれです。続けて、そのダブルギヤボックスの箱を開封してみましょう! 最初に部品の確認です。ギヤ、プラスチックパーツ、細かい部品の入ったビニール袋などが入っていますね(画像04)。ビニール袋には、シャフト、ネジ、イモネジ、ブッシュなどが金属製の部品が入っています(画像05)。

それではまずシャフト作りから行いたいと思います。金属製の部品の入ったビニール袋を開けてみましょう。その中には2種類のシャフトがあるのがわかりますでしょうか。画像05の中央にある金属棒の4本の内で長い2本が六角シャフト、短い2本が丸シャフトです。そのほか左から六角レンチ、グリス、丸シャフトの上には六角ボス(金)とスペーサー(銀)、そして金属製部品の入っているビニール袋(ビニール袋の中にビニール袋が入っています)などがあります。便宜上、ビニール袋内ビニール袋は小ビニール袋と呼びますが、この中にはネジやハトメ、ピニオンギヤ、六角ボス、イモネジなどが入っているという具合です。

画像06

まずは丸シャフトから取りかかります。この丸シャフトには、ギアの入ったビニール袋内の中にあるブッシュをはめます。このブッシュですが、短いものと長いものの2種類があるので間違えないようにしましょう。ここでは、長いブッシュを使用します(画像06)。ブッシュは取り付け位置が決められており、端から7mmの位置になります(画像07)。2本目の丸シャフトにも同じようにブッシュを取り付けてください。2本作るのは、ダブルギヤボックスはギヤボックスを左右にふたつ並べる形になるからです。

次は、ニッパーさんを使ってプラスチックパーツの「T2」を切り取ってください。このT2に小ビニール袋内のハトメをはめていきます。このハトメですが、先ほど使用したブッシュと形がよく似ているので、注意が必要です(画像08)。このT2に先ほど作った丸シャフトを差し込みます。シャフトの短い側にグリスを塗り、内側に出っ張っている方の穴に差し込んでください(画像09)。

続いて六角シャフトです。六角シャフトに、小ビニール袋の中に入っている部品のひとつである六角ボスを取り付けてみましょう。ボスの位置は決まっており、端から13mmの位置に取り付けます(画像10)。ボスの取り付けは、これまた小ビニール袋内の部品のひとつであるイモネジを締め付ける形で行います。イモネジの締め付けは、付属工具の六角レンチを使用します。六角シャフトも2本同じように作業を行ってください。なお、この取り付けがしっかりできていないと、走行中にギヤボックスが崩壊する可能性があります。なので、これでもか! というぐらいに強く締めておきましょう。

画像11

今度は、六角シャフトにギヤを取り付けます。まずはボスを挟んだ六角シャフトの長い側・短い側ともにグリスを塗り、長い側に「G3ギヤ」(青い歯車)をはめ込みます。この時、ギヤの平らな部分がボスに当たるようにしてください。続けて六角シャフトの短い側から、「G4ギヤ」(黄色い切り欠きのある歯車)をボスに被せるようにしてはめ込みます。G4ギヤの切り欠き(凹み)の部分が、イモネジに合うようにします(画像11)。そして、その六角シャフトをT2の残った穴(丸シャフトを差し込んだ隣)に差し込みます。

続けて、最初に差し込んだ丸シャフトに戻ります。丸シャフトに2枚目のG3歯車(青)を出っ張りのある面がブッシュと接触する方向に差し込みます(画像12)。続いて六角シャフトに移って、「G2ギヤ」(黄色い傘歯車)を取り付けます。この時、丸シャフトのG3ギヤギヤとかみ合うようにはめ込んでください(画像13)。最後に丸シャフトのG3ギアの外側にスペーサー(銀色の筒)を入れて完了です(画像14)。

今度は、プラスチックパーツ「T4」に移ります。再びニッパーさんに活躍していただくことにして、T4をランナーから切り取ってください。そして、T2にこのT4をはめ込みます。パーツ類は、スキ間がないようにはめてください。どうしてもはまらない場合は、取り付け方向を間違っている可能性がありますので、無理に押し込まずに確認してみましょう(画像15)。

T2とT4をきちっとはめ込めたら、やっと2番ドライバー君の出番です。まずはネジを準備します。ネジは3種類です(画像16)。今回は一番長いネジ=3×13タッピングビスを使います。このネジを使って、T2とT4を組み合わせた上で、T2側からネジ止めをしていきます。なお、ネジ穴は4つあるのですが、ひとつはネジが入りませんので注意してください(画像17)。以上で、ダブルギヤボックスの半分が出来上がりました。

次はもう片方のギアボックスの製作です。プラスチックパーツ「T3」を切り取り、T2に行ったのとは上から見て左右対称になりますが、同じ要領で丸シャフトや六角シャフト、各種ギアなどをセットしていきます。T3が完成したらT2+T4のT4側に組み合わせて(画像18画像19)、「ダブル」ギヤボックスの完了です(画像20)。

画像20
【最後はモータを取り付けてギヤボックスの完成!】

ギヤボックス作りの最後は、モータの取り付けです。ダブルギヤボックスは、ビュートローバーの駆動系でありエンジンでもあるパーツなんですね。それではまず、モータにピニオンギヤ(紫色の小型歯車)を取り付けましょう。出っ張りがモータ側になるようにします。ただし、普通に手で取り付けようとしてもなかなか難しいので、写真のようにギヤを下にして押しつける形ではめ込むとラクです(画像21)。もうひとつのモータも同様にピニオンギヤをはめ込みます。

続いては、ピニオンギヤを取り付けたモータをギヤボックスに装着です。モータはピニオンギアをギアボックス側に向けてはめ込みます(画像22画像23)。この時に注意することは、配線が外側になるようにすることです。当然、左右のモータで向きが逆になるので注意してください(画像24)。そして最後にまたまたニッパーさんを使って、プラスチックパーツのT5を切り取り、モータ部分に被せるようにして装着します(画像25)。これで、モータをふたつ取り付けてギヤボックスは完成です。あとは、最後の仕上げとして歯車にグリスを塗っておきましょう。量はお好みで構いませんが、塗りすぎるとボックスがベタベタになってしまうので、少量から試していくといいでしょう。

後編は、ビュートローバー本体の製作を行います。お楽しみに!

前の記事へ ページトップへ 前の記事へ ページトップへ