「HII-Aロケット19号機」打ち上げ延期して時期未定に
理由は搭載機器の不適合への対応のため
独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工株式会社(MHI)は9月07日に共同で、「情報収集衛星光学4号機」を搭載した「HII-Aロケット19号機」(左の画像は18号機)の打ち上げ延期を発表した。新たな打ち上げ時期は未決定で、後日発表されることとなっている。
19号機は当初打ち上げを8月28日に予定しており、予備期間として8月29日から9月26日までがスケジューリングされていた。しかし、射場整備作業期間中に地上からの破壊指令を受信するための装置「CDR」(右下の画像)の電子部品の使い方に誤りがあるという設計不良が確認されたため、延期となった。設計不良についての対応は完了している。
設計不良の原因は、高集積回路の周辺回路が、部品メーカの定めた使用条件を逸脱していたため。19号機の搭載電子機器に対して、すべての機器に同様の問題が内在していないかの確認も行われ、フライトに影響を及ぼすような問題となる事項はないことが確認された。
万全を期すためにJAXAとMHIにおいてもCDRなどのすべての集積回路について再度確認を実施したところ、CDR演算チップ周辺回路について、また異なる部品の使用条件を逸脱する設計不良が確認された。設計不良の概要は、演算チップのある特定のピンについて、グランド(0V)に接続するように使用条件が定められていたが、製造図面などに反映されておらず、そのため予期せぬ動作が起こる可能性を否定できなかった、というものである。
当該演算チップ周辺回路の設計不良について対応を行なう必要があることから、今回の打ち上げ延期が決定され、いくつかの対応が取られた。まず、当該ピンを部品メーカの使用条件に従って接続し、単体試験を実施。その後、JAXA、MHI、機器メーカによる回収後データ確認会を実施し、19号機の機体に搭載した。搭載状態での点検も実施され、機体全体としての健全性が確認されている。
今後の改善事項としては、今回のメーカによるチェック漏れをJAXAとMHIが再確認で発見できたという三重のチェックシステムに鑑み、今後も機器メーカ、打ち上げ事業者、JAXAが適切な連携のもとで打ち上げに臨むとする。特に、重要な機器へ波及する可能性のある不適合が生じた場合には、臨機応変に相互チェックするなど、万全の体制で対応を図ることとしたい、としている。