TOP >  最新ニュース >  先週のニュース >  ニュース記事2011年07月15日-a

「からだの中から宇宙まで」をキャッチフレーズに
東北大学、「極限ロボティクス国際研究センター」を設置

東北大学は7月08日、1日付けで同大学大学院工学研究科に「極限ロボティクス国際研究センター」を設置したことを発表した。センター長を務めるのは、工学研究科教授の吉田和哉氏。同大学大学院の工学研究科、情報科学研究科、医工学研究科に所属する9名の教授を中心に運営され、平成29年03月31日まで設置される。同大学では、平成23年度より概算要求特別経費によって「極限ロボティクスの国際研究拠点形成」プロジェクトを開始しており、今回の同センターは同プロジェクトの実施主体としての意味合いも持つ。

極限ロボティクスとは、人間の能力を超えたマクロ(巨視)の世界およびマイクロ・ナノ(微視)の世界などの極限的な環境で活躍するロボットの実現に挑戦する研究分野。同ロボティクスに共通する基盤技術研究をベースとして、宇宙探査、災害対応、ライフ・イノベーション、分子ロボットなどの極限的な応用展開研究を推進していくとしている。「からだの中から宇宙まで」をキャッチフレーズにして、世界中から優れた研究者を惹きつける国際研究拠点の形成を目指し、世界の最先端と切磋琢磨する研究環境を構築するという。

同センターで取り組む研究課題は4つ。「宇宙ロボット」(Field and Space Robotics)、「災害対応ロボット」(Rescue Robotics)、「ライフ・イノベーションのためのロボティクス」(Medical Robotics & Life Innovation Technology)、「分子ロボティクス」(Molecular Robotics)だ。

宇宙ロボットは、はやぶさ開発に貢献したり、同大学独自の小型衛星を開発したりするなどのこれまでに培った技術を発展させ、宇宙という極限環境の探査に貢献するロボットの開発を推進していくとする。それと同時に、宇宙探査技術を地球上の技術にもフィードバックし、資源探査や廃棄物処理などの地球環境保全のための技術にも応用していくという。

災害対応ロボットは、これもまた福島原発に投入された千葉工業大学のQuinceの開発にも関わっているなど、東北大学の得意分野。しかし災害の形が千差万別であり、ロボットが現場で適切に活用されるためには、ロボットが安全・安心な日常生活を実現する要素として社会に組み込まれていく必要があると考えているそうだ。同センターでは、東日本大震災への対応を喫緊の課題とし、災害研究の拠点となることを目指し、極限ロボティクスの立場から研究開発を推進するとした。

日本は超高齢社会に突入していることから、医療・福祉・ヘルスケアの分野でもロボット技術が求められており、ライフ・イノベーションのためのロボティクスも対象分野となる。医療現場における検査や手術の支援ロボット、日常的に人が人らしくより健康な生活を行っていくことを支援するロボットなど、応用分野は多岐に渡るが、極限的に応用分野の開拓を目指していくという。

最後の分子ロボティクスはナノテクノロジー分野に含まれるわけだが、人工生体分子で構成される分子ロボットの研究など、これら微細な領域も同大学が得意とする分野であることは知られたとおり。同センターでは、分子を自由に操るという極限技術から革新的な成果を得られる可能性も期待されるものとして、マイクロ・ナノの極限である分子ロボットの研究を推進していくとしている。

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