日本科学未来館の新規展示「2050年くらしのかたち」と
「アナグラのうた~消えた博士と残された装置~」、8月から
6月11日から再開した日本科学未来館は、昨年より3階のリニューアルを実施中だ。すでに3階のリニューアルの一部は完了し、「EX3情報科学技術と社会」エリアの常設展示「メディアラボ」第9期「もんもとすむいえ」(JST ERATO 五十嵐デザインインタフェースプロジェクトの作品展示)と、メディアラボ第8期までの各期を代表するデバイスアートを集めた「零壱庵」がオープンしている。そしてこの8月21日(日)からは、「EX2技術革新と未来」エリアの「2050年くらしのかたち」と「アナグラのうた~消えた博士と残された装置~」がオープンする予定だ。
「2050年くらしのかたち」は、「ひとりひとりの願いがつくる未来」をコンセプトにした、サスティナブルな社会をつくるライフスタイルと、それに必要な科学技術を共に考えていくという展示だ。都市環境やバイオテクノロジー、材料科学など幅広い分野の研究者40名へのインタビューをベースとして、「地球はひとつしかない」という条件の中で我々が「より豊かに生きたい」という願いをこれからも実現していくためのヒントを、西暦2050年の人々の生活を通じて紹介していくという内容となる。
展示では、架空の都市「いとおか市」でのさまざまな技術が実現している2050年の人々の生活(約60人のキャラクター)を、AR技術を使った端末でのぞき見るという形だ。同時に展示体験をバックアップする形として、Webサービスも始まり、科学トピックの詳細や体験履歴の閲覧、展示端末の操作と連動して変化するいとおか市の人口やリサイクル率などのデータを視聴可能だ。展示床面積は約120平方メートル。総合監修は独立行政法人国立環境研究所理事長大垣眞一郎氏で、美術監督は種田陽平氏、企画・制作は日本科学未来館。
そしてEX3情報科学技術と社会にもうひとつ追加されるのが、「アナグラのうた~消えた博士と残された装置~」。空間情報科学をテーマとした体験型展示だ。現在から100年後という設定で、かつて空間情報科学の博士たちの研究所だった「アナグラ」を舞台にした空間で、体験者の動きや生体情報に合わせて映像(「ミー」という影に似た姿で足下に現れる)や「うた」(プレスリリースに従って、歌とは表記していません)などのコンテンツが生成される内容だ。情報という誰もが持つ資源」が社会に役立てられる様子を、うたの生成になぞらえて体験できる仕組みということである。個人の持つ多量な情報を、いかに社会で共有するのか、そして保護するのかを直感的に経験して考えることができるようになっているという。
アナグラの中には体験者の一計測のためのレーザーレンジファインダが導入されており、複数の体験者の動作を精細に測定できる仕組みだ。それにより、体験者の行動はすべて情報となり、刻々とミーが変化していくという。残された5つの装置との対話を通して、空間情報学の重要な技術が明らかにされていき、最後の装置との対話を終えると自分の情報が音楽となってアナグラに響き渡る仕組みだ。なお、「うた」はヤマハ株式会社が協力し、同社の歌声合成技術を利用してインタラクティブかつ自然な歌声の自動生成を行っている。展示の演出ににはゲームクリエイターも参加しており、エンターテイメント性が考慮された内容となっている。床面積は約150平方メートル、総合監修は東京大学空間情報科学研究センター教授の柴崎亮介氏、演出は株式会社グラスホッパー・マニファクチュアの飯田和敏氏。企画・制作は日本科学未来館。