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CEATEC JAPAN 2010で見たロボットたち-中編
子ぐまに恐竜に純金ルンバなど初見参を紹介

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10月05日から9日まで幕張メッセで行われた、最先端IT・エレクトロニクス展「CEATEC JAPAN 2010」で活躍したロボットたちを紹介する中編(前編はこちら)。続いては、今年初登場のロボットたちを紹介。

【富士通「人に優しい端末を目指す子ぐま型ソーシャルロボット」】

富士通株式会社は、今年の5月01日に発表した「人に優しい端末を目指す子ぐま型ソーシャルロボット」(詳細はこちら)を参考出品(開発は株式会社富士通研究所)。かつて富士通の子会社で開発・販売されていたHOAPシリーズのスタッフが開発しており、既に医師や介護施設との共同研究も初めている。

サービスロボットの活用方法として、近年、お年寄りの体調管理や家庭での生活情報支援サービス、介護施設での利用など、インターフェースという使い方が見出されてきているが、同ロボットもそれをターゲットした、「日常生活に溶け込む人に優しい端末」を目指している形だ。そこで、ユーザーに親しんでもらえるようにするため、外観を重要視し、幼児体型の子ぐまのヌイグルミを採用した。これにより、スキンシップを促す効果や、動物と幼児の中間的な存在感によるかわいらしさを得ることに成功している。

USB接続でPCから制御でき、自由度は12。耳の折りたたみとまぶたおよび口の開閉で3自由度、首のうなずき、横ふり、かしげの3自由度、左右の肩関節に腕の振り回しのために2自由度ずつ、左右の股関節に足の上下のために1自由度ずつとなっている。外界センサとして、鼻に小型カメラ、身体や頭に13個のタッチセンサ、両腕先には握られたことを感知する腕握りセンサ、身体の傾きを検出する傾斜センサを搭載。視界中央の最も大きく映っている人物を補足し(それ以外の位置の人物も人とは同時に認識する)、その人物と目が合うように顔を向ける仕組みだ。

また、ロボットがどの感情状態にあるかによって、両腕を上げて喜んだり、悲しくて落ち込んだりといったアクションを取るよう、約300の短い振る舞いを感情空間にマッピングしている。これらにより、少し気まぐれな生き物的な要素を持っている一方で、身体をくすぐると笑うなど、ペット感覚も備えというわけだ。完全な動物風ではなく、3~5歳ぐらいの幼児風に話すという擬人化もされている。なお、認知症高齢者の自宅での実証実験では、「それまでは黙ってただ座っていただけなのが、ロボットと触れあう時に自然な笑顔で接するようになった」といった、良好な反応も得ているそうだ。動画は、くすぐられて笑ったり、体操をしたりする様子を見られる。

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【タイコ エレクトロニクス ジャパン「TEザウルス」】

今回の出展のロボットの中で最も大きかったのが、タイコ エレクトロニクス ジャパン合同会社の「TEザウルス」。同社が開発している超音波表面弾性波方式(指で触った場所で超音波が減衰することを利用して位置を検出する方式で、ガラス表面が傷ついても位置検出に影響がない点が特徴)のタッチパネル「マルチタッチ」で操作できる恐竜型ロボットだ。抽選によって当選した人が実際に操作できるというイベントを実施しており、長蛇の列を常時作っていた。

【iRobot「純金ルンバ」「PackBot」】

そして、現在のところ、唯一家電として売れたロボットといっていいのが、iRobot社のお掃除ロボット「ルンバ」(日本での総代理店はセールス・オンデマンド株式会社)。今回は、堀金箔粉株式会社が制作した、「純金ルンバ」を展示した。純金箔24K「黄金箔」を「ルンバ577」に使用した非売品で、まぶしい1台である。

iRobot社は、多目的作業用ロボット「PackBot」(パックボット)も展示。米国防省高等研究計画庁(DARPA)の資金供与で開発が行われたロボットで、爆弾処理、監視・調査、危険地帯潜入、危険物探査と処理、敵やテロリストの潜む建物への潜入など、軍および警察の範疇となる危険な任務を人に代わって行っている。イラク戦争でも活躍し、爆弾処理の犠牲となってバラバラになり、殉職として戦死者の遺体を運ぶボディーバッグに入ってiRobot社に帰ってきた機体もあるという。ちなみに、爆弾処理で兵士の犠牲が減ったことで、米軍より感謝状を受けたそうだ。2001年のアメリカ同時多発テロの際にも人命救助のために活躍し、現在も3000台以上の機体が世界中で危険な任務に従事しているそうである。

そのほか、アイ・ビー株式会社、株式会社セックが共同開発した「インフォメーションロボット」、韓国YUJIN ROBOT社が開発した、コミュニケーションロボット「iRobiQ」なども展示されていた。今後、こうしたコミュニケーション端末タイプのデスクロボットが家庭や学校、オフィスなどへ浸透していくことになる雰囲気が、今年のCEATECではより明確になったような感じである。

後編では、ロボット以外のロボット関連製品や技術を紹介。

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