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国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」
2010年度グッドデザイン賞ベスト15受賞!

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宇宙航空研究開発機構(JAXA)は29日、財団法人日本産業デザイン振興会が主催する2010年度グッドデザイン賞(Gマーク)にて、国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」がグッドデザイン賞ベスト15(グッドデザイン大賞候補)」(その中の社会領域)を受賞したことを発表した。グッドデザイン賞は、1957年に通商産業省(現経済産業省)によって設立された「グッドデザイン商品選定制度(通称Gマーク制度)」を継承して、1998年より日本産業デザイン振興会が主催事業としてスタートした、日本で唯一の総合的なデザイン評価・推奨制度だ。大賞は11月10日(水)に選出され、きぼうのほかに今回受賞した15製品から選ばれる形だ。表彰式は、同日に東京ミッドタウン・ホールで開催される予定。

きぼうは、世界15ヵ国が協力して地球周回軌道に建設している国際宇宙ステーションの施設のひとつで、1985年から計画はスタートした。当時の日本には、宇宙環境において宇宙飛行士の生命を守り、安全で快適な実験・作業空間を提供する技術は確立されておらず、初めての挑戦であり、開発に携わった企業は650社にもおよぶ。主立ったメーカーとしては、三菱重工株式会社(名古屋航空宇宙システム製作所)が船内実験室および船内補完室、株式会社IHIエアロスペースが船外実験プラットフォームおよび船外パレット、日本電気株式会社はロボットアーム並びに通信機器を担当した。

なお、グッドデザイン賞審査委員長深澤直人氏は、今回の受賞理由について、以下のように述べている。「宇宙からのテレビ中継で「きぼう 日本実験棟」での実験は、微少重力環境を利用した物理現象の解明、植物や細胞を利用した放射線や微少重量の生命現象への影響を解明することなど多岐に渡る。この実験の様子を見ていると、子どもの頃ワクワクして科学実験などを行った記憶が蘇ってくる。その実験結果は地球上では考えられない不思議さが満載であり、大人でさえ好奇心がムクムクと湧いてくる。「きぼう」は耐久性、安全性、操作性、高気密性などなどを極限まで追求しており、隕石からのプロテクトなどさまざまな新素材や新工法が考えられている。そぎ落とされた機能的であり即物的な姿はとても美しい。「きぼう 日本実験棟」は、まさに地球環境問題を俯瞰できる叡智の集大成施設である。宇宙開発においてはアポロ、ソユーズなどの米ソが主役であったが、今回世界15ヵ国と協力して地球周回軌道上に建設を進めている国際宇宙ステーションの施設製作に参加している。昨今の日本人宇宙飛行士たちの大活躍とこの「きぼう」の開発とその功績は群を抜いてすばらしい。疲弊した元気のない日本社会に、夢と希望を与える施設であり、まさに今の時代を反映した宇宙数ケールのグッドデザインである。」

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 今回の受賞に対し、JAXAは「より多くの方々に『きぼう』をご利用いただき、科学的知見を得ること、地上の生活への成果をフィードバックさせること、また日本の将来の有人宇宙活動を支える技術とデザインを開拓することを目指してまいります」とコメントしている。

また、JAXA有人宇宙技術部宇宙飛行士グループ長で、第18~20次長期滞在クルーとして大活躍した日本人宇宙飛行士の若田光一氏も、「今回の受賞を本当に嬉しく思います。きぼうは安全性、機能性、操作性においても優れたシステムであるとともに、静かで快適な居住環境を実現し、世界に誇れる日本の有人宇宙実験施設だという印象を持ちました」とコメントを出している。

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