TOP >  最新ニュース >  先週のニュース >  ニュース記事2011年06月27日-p

半導体チップ上の量子シミュレーション実験で
d波ボーズアインシュタイン凝縮体を世界で初めて実現

国立情報学研究所は、同研究所所属教授の山本喜久氏とそのグループが、半導体チップ上に構成されたマイクロ共振器デバイスを用いてd波ボーズアインシュタイン凝縮体を実現することに世界で初めて成功したことを6月20日に発表した。山本氏は内閣府最先端研究開発支援プログラム「量子情報処理プロジェクト」の支援を受け、量子シミュレータの開発を目標のひとつとして研究を続けており、今回の結果に至ったという形だ。

今回の成果は、半導体マイクロ共振器中に2次元正方格子を持つデバイスを開発したことがポイント。その中で生成された励起子ポラリトンのボーズアインシュタイン凝縮体を用いて、銅酸化物高温超伝導体などを実現しているといわれているd波凝縮体を、世界で初めて人工的に実現したというわけだ。これまでは限られた実験手段でのみ研究されてきたd波凝縮体だが、今後は今回の人工格子に基づく量子シミュレーターを用いて、その特性・発現機構を解明することで、新たな物理現象の発見につながる者と期待されている。

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