編集長コラム「デイビーのひと言」番外編:プロデューサー
小熊一実氏に聞く「ROBOT JAPAN 2nd」の見所
一般的に見学者には無料開催が大多数のロボットイベント。そこへ、今年から新たにロボット業界への参入を果たしたROBOT JAPANは、有料制で挑戦している。21日(日)に築地本願寺ブディストホールで「ROBOT JAPAN 2nd」が開催されるが、その魅力に迫るため、有料制で開催していることの理由も含めて、主催の株式会社マゼル・ジャパン代表取締役の小熊一実プロデューサーにミニインタビューをさせていただいた。(インタビューでの敬称は省略させていただきました)
-:開催直前のお忙しい時期にありがとうございます。まず、今回の見所を教えてください。
小熊:今回は、車いすメーカーの「さいとう工房」さんが、開発中の電動車いすで参加し、一発芸部門に登場してくれます。今回の挑戦のひとつが、ホビーロボット以外のロボットを登場させることでした。電動車いすを登場させられることになり、エンターテイメントを通して、ロボットの人間社会への普及を目指すROBOT JAPANのみならず、ロボットビルダーや観客の皆様にとっても、新しい刺激を与えられるのではないかと思っています。
-:電動車椅子も、中にはほとんどロボットといっていいものもありますから、きっと面白いパフォーマンスを見せていただけるものと思います。楽しみにさせていただきます。
小熊:実際には電動車いすをロボットと呼ぶにはまだ早いのかも知れませんが、ロボットテクノロジーを盛り込むことで、新しい社会のツールにはなっていくのは間違いないはずです。その成長過程を第一歩から見ていただけることが興味深いかと感じています。
-:そのほかにはいかがでしょう?
小熊:ROBOT JAPANならではの出し物としては、「築地亭小呂助」が新ネタのロボット落語を披露します。
-:1stの時に総合司会を担当された三遊亭きつつきさんが声を吹き込んだ、近藤科学の「KHR-3HV」をベースにしたロボット落語家・築地亭小呂助ですね。
小熊:ホビーロボットは人の動作を100%再現できないのですが、ロボットディレクターの柴田善広くんや城間一帆くんが外見を整えたり、落語家の動きのイメージが伝わる素晴らしいモーションを作ったりして、最初にしては1stの時も雰囲気が出ていたかと思います。でも、今回はそれにさらに磨きをかけています。
-:昔懐かしい、四角いデザインのロボットもいい味が出ていましたよね。
小熊:あの昔懐かしいロボットは外側が紙製でして、ゲストでもお越しいただいたパズル作家でロボット博物館を設立中の甲谷勝氏に作っていただいたんです。
-:KHR-3HVの上に被せているわけですね。その上に落語家らしい和服を着て、雰囲気がよかったです。あの、きつつきさんのとぼけたしゃべりもとてもマッチしてましたし。
小熊:そのほか、オープニング漫才ももちろんあります。築地go!go!go!のメンバーは今回も張り切っていますのでご期待下さい。
-:バトルの方はどうですか。
小熊:フライ級(2kg以下級)は現在のところ、斑鳩、オサル5号、クマだもん、ゼルファー、セアル、バルト、ライデン、W3HVの8台のエントリーが決まっています。バンタム級(3kg以下級)は、ヱクセリヲン、ガルー、黒鵜、クロムキッド、サアガ、で・か~る、フェルナンド、フロスティ、そして流血仮面と9台がエントリーしています。
-:流血仮面は、オペレーターのミステル・タマオ総統とともに、また勝敗を度外視した、ロボットプロレスを見せてくれることでしょう。1stでは、流血仮面軍団「流血48」としてマスクドロボットが増殖していましたが、今回も登場するのか、その点も楽しみですね。
小熊:総統と流血仮面はZEROの時も1stの時も毎回何かをやってくれるので、楽しみにしています。
-:あとは、総統がかまないことを祈りましょう(笑)。
小熊:ダンス部門ではサイコログレート、ソマリ、トコトコ丸、マノイエンターテイメント、特別ゲストとしてミャノイも踊ってくれます。Kinectを利用してNAOを操作するTaylorさんのパフォーマンスも期待しています。
-:それから、今回のゲストの方はいかがでしょう?
小熊:先ほどお話しした、電動車いすを登場させる有限会社さいとう工房の代表取締役の齋藤省氏、写真家の佐藤ジん氏、そして引き続き甲谷勝氏にお越しいただきます。佐藤氏は、震災の写真を今回、お持ちいただきます。
-:前回も詩人の谷川俊太郎先生が来られましたが、今回も車いすの制作会社の社長さんや震災の写真を撮ってこられた写真家の方といい、社会派な感じですね。ところで、お話を変えさせていただきまして、ROBOT JAPANは有料制となっています。前例がないわけではありませんが、あまりロボット系のイベントが有料というのはありませんが、その理由をお聞かせ下さい。
小熊:有料にする理由は、お金を取れるエンターテイメントにしたいという思いからです。出場者が参加して楽しむだけでなく、見ていただく方たちにも、納得していただけるショーを作っていきたいと思います。その覚悟で制作しています。今回は1stよりも前売りは伸びていますので、当日券と含めて来場者は3桁を越えると見ています。
-:会場のブディストホールは164席ですから、3桁ということは100名ピッタリだとしても6割以上になりますね。お金を取るロボットイベントでそれだけ集められるのは、すごいことかと思います。
小熊:もっともっと発信していって、立ち見が出たり、「もっと広いところでやってほしい!」という要望が出たりするようにしたいですね!
-:それからまた話が変わりまして、ちょっと細かい話なのですが、21日は同じ23区内でロボットイベントが被ってしまいました(Robotma.comで「チキチキロボマッチミニ!2011 6回目♪」が開催)。どうしても土日開催に絞られるため、イベントが重なりやすいのは致し方ないかと思いますが、せめて近場では重ならないようにした方がいいかと思います。そこら辺はどう思われていますか? 何か考えることがありましたら、教えていただけますか。
小熊:4月に1stを開催した際に2ndが8月21日開催であることは発表していたのですが、チキチキロボマッチミニ!は毎月定期開催ということで、今回は運悪く重なってしまいました。できるだけ重ならないよう、これからも早めの告知を心がけて、うまく調整していけたらと思います。3rdの開催予定も、今回の最後に発表する予定です。
-:自分もマスコミとして、もっとイベントが重ならないよう、キャッチした情報は早め早めに、そしてもっと確認しやすいようにカレンダーページをまとめるといった作業をしていきたいと思います。ちなみに、遠方で直接足を運べないという人向けのライブ中継などの予定はありますか?
小熊:ありますよ。USTREAMで配信します。こちらで行います。ぜひご覧下さい。
-:最後にひと言、お願いします。
小熊:お馴染みのメンバーに加えて新しい出場者も増えて、自分はプロデューサーという立場ですが、それを越えて楽しみにしています。見所満載ですので、ぜひ足を運んでいただければと思います! それと、今回は各競技の勝者とは別にMVPを設けます。その副賞として、アメリカで開催されているロボットのオリンピックともいうべきROBOGAMESの2012年大会にご招待し、一緒に競技に参加していただきます。世界に日本のロボットを紹介する一助になれたらと思っておりますので、ぜひご参加いただく皆さんには頑張っていただければと思っております。
-:ありがとうございました。上位入賞者に渡される、もらって嬉しいんだか嬉しくないんだか微妙な意表を突く副賞もまた期待しています!
ROBOT JAPAN 2ndは8月21日(日)、築地本願寺ブディストホールで11時から予選がスタート。メインイベントは14時開始だ。予選のみの入場料は500円、メインイベントのみの入場料は1200円、1日通し券は1500円となっている。夏休みも残り少ないので、親子で観戦するなどもいかがだろうか。