下克上勃発! 先輩のロボットを奪え!!
第3回学生対抗ロボット大会リポート
8月31日、秋葉原のKONDO ROBOSPOTにおいて開催された、第3回学生対抗ロボット大会。その名の通り、学生だけが参加できる若い大会で、基本はチーム戦で行なわれる。とはいっても、1チームひとりからOKなので、個人参加も可能だ。参加資格はそのほか、ロボットが足を上げて歩けること、全サーボがKONDO製であることとなっている。
競技は全4種目あり、「折り返し競争」、「ドリブルシュート」、「玉入れ競争」、「バトルフラッグ」となっている。全競技1対1で勝負を行うが、得点に関しては玉入れ競争以外は、全参加者のその競技の終了後に順位付けを行って、F1のように上位から点を得ていく仕組みだ。1位10点、2位8点、3位6点、4位5点、5位4点、6位3点、7位2点、8位1点となっている。4競技の合計得点で、最終的な優勝が決まるというわけだ(玉入れ競争の得点に関しては後述)。フィールドはKONDO CUPでお馴染みの、KONDO ROBOSPOT常駐のロボットサッカーフィールドを使用。
そして、今回の参加チームは以下の7チーム。ロボット名(五十音順)、チーム名(所属学校・サークル名)。個人名は、控えさせていただいた。
・セアル/個人(日本工業大学)(画像02)
・ゼルファー/個人(千葉工業大学)(画像03)
・ドルカス/チームドルカス(芝浦工業大学SRDC)(画像04)
・雪風/個人(個人)(画像05)
・SRDC-A(レンタル機体1)/チームSRDC-A(芝浦工業大学SRDC)(画像06)
・SRDC-B(レンタル機体2)/チームSRDC-B(芝浦工業大学SRDC)※機体画像は、レンタル機体1と同型のためなし
・ルカヌス/チームルカヌス(芝浦工業大学SRDC)(画像07)
ちなみに、ルカヌスは第18回ROBO-ONE in 新発田で予選4位、学生選手としては最高位を獲得した大型のオリジナル機体である。また、レンタル機体とは、ROBOSPOTがレンタルしてくれた近藤科学製「KHR-3HV」のこと。愛機を持っていなくても、参加できてしまうので、次回大会の時は、ぜひ学生さんは参加してみてほしい(学生対称だから、小学生でもOK)。そのほか、ゼルファーは近藤科学が初めて発売した二足歩行ロボット「KHR-1」ベースなのだが、なかなか動きがよかったりする。雪風は小型機だが、サーボに4000番台をポイントとなる部分に使用しており、非常にパワフル。ドルカスもルカヌス同様にオリジナル機体で、現SRDCの部長の機体だ。
競技は、まず折り返し競争からスタート(画像08)。2機が同じゴールエリアラインからスタートして、2m先のパイロンを回って再びゴールエリアまで戻るというもの(画像09)。制限時間は3分である。単純なルールなわけだが、ロボットに真っ直ぐ走らせるのが難しいのはご存じの通り。基本的に1歩のストライドが大きい大型の方が有利なわけだが、それもきっちりまっすぐ歩くことが条件となる。今回は小型機が活躍し、順位は以下の通りとなった。総合順位は、最後のみに掲載する。
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【折り返し競争】
1位:雪風/20秒81
2位:ドルカス/26秒10
3位:SRDC-A/31秒29
4位:SRDC-B/32秒41
5位:ゼルファー/35秒13
6位:セアル/45秒62
7位:ルカヌス/48秒18
2種目目のドリブルシュートは、2機が両ゴールエリアラインに別れてスタート(画像10)。中央にあるゴールマウスに、KONDO CUPのKHRクラスで使用されているボールを蹴り込むまでのタイムを競う。ただし、自分のボールはスタートするエリアと同じ側にあるが、ゴールマウスは反対側にあるため、ボールをドリブルしていって、なおかつ振り向いてシュートしないとならないのがポイント。しかも、ゴールマウスが中央にふたつもでんと陣取っているため、サイドラインを割らないようにしてその両脇の狭いところを通らないとならない点もポイントである。うまく、対戦相手とコースが被らなければいいが、呼吸が合わないと同じコースになってしまうこともあり、なかなか難しい。結果は、以下の通りとなった。
【ドリブルシュート】
1位:ドルカス/32秒25
2位:ゼルファー/33秒59
3位:雪風/38秒25
4位:SRDC-B/43秒09
5位:SRDC-A/52秒31
6位:セアル/3分41秒31
7位:ルカヌス/1m14cm(故障で未ゴール)
3種目目の玉入れ(画像11)は少し特殊で、中央にKONDO CUPのKHRクラスのボールを6個、オープンクラスのボールを3個が置かれており、それを奪い合う形で、自分のゴール(通常のサッカーと同じ位置)にシュートする(足だけでなく、手を使っても、押し込んでもよい)ことで、得点となる。KHRクラスは1点、オープンクラスは1.5点だ。ただし、相手ゴールのボールをかき出せるというのがポイントで、攻撃と防御のバランスが重要。また、試合時間3分で同点の時は、延長2分のVゴール方式で勝敗を決するルールとなっている。玉入れ競争のみは、トーナメントで順位を決定する形で、これが一番盛り上がった。特に、芝浦工業大学SRDCは先輩と後輩など、同門対決が次々と実現し、後輩たちが先輩の機体を奪えと(狙われたのはドルカス)、下克上モード。後輩たちはレンタル機体とはいえ、ROBOSPOTスタッフが組み立てて手入れしているKHR-3HVなので、かなり動きもいい。非常に楽しめる展開となった(約1名、へこんでいたけど)。同競技は動画でお届けする。2回戦以降は誰が勝ち上がったのかはここでは記さずに後述するので、まずはどういう結果になった上手ほしい。
・1回戦第1試合:ルカヌス対セアル(動画01)
・1回戦第2試合:SRDC-A対SRDC-B(動画02)
・1回戦第3試合:雪風対ゼルファー(動画03)
・2回戦第1試合(動画04)
・2回戦第2試合(動画05)
・3位決定戦(動画06)
・3位決定戦延長戦(動画07)
・決勝戦(動画08)
そして最後のバトルフラッグ(画像12)は、2機が同じゴールエリアラインからスタートし、途中で障害物(水の入ったペットボトル)を5本倒した後、反対のゴールエリアラインに立っているフラッグを倒すまでのタイムを競う内容だ。これも全員がゴールした後に、タイムの早い方から順位がつけられる。これはパワーがあって重量のある機体が有利だが、折り返し競争同様に、しっかり歩行できることも重要だ。
【バトルフラッグ】
1位:ルカヌス/18秒74
2位:ドルカス/30秒27
3位:SRDC-A/40秒84
4位:雪風/44秒22
5位:SRDC-B/54秒20
6位:セアル/1分0秒65
7位:ゼルファー/1分11秒84
【3種目目玉入れ順位】
1位:ルカヌス
2位:雪風
3位:レンタル機体2
4位:ドルカス
5位:レンタル機体1
6位:ゼルファー
7位:セアル
結果、総合優勝は、以下の通りで、僅差でドルカスとなった。雪風はバトルフラッグで運の悪いことに、手を伸ばした先あと数センチというところで不調を来して停止してしまい、そのまま倒せていたら、おそらくは優勝していたのではないかと思われた。
【総合結果】
優勝:ドルカス/31点
準優勝:雪風/29点
3位:ルカヌス/24点
4位:SRDC-A/20点
4位:SRDC-B/20点
6位:ゼルファー/17点
7位:セアル/11点
ドルカスのビルダー兼オペレーターであるSRDCの現在の部長さんは、途中、玉入れで後輩チームに負け、ドルカスを譲るはめになりそうになりかなりへこんでいたが、結局は総合優勝を勝ち取った。しかも、部長権限でドルカスを「譲らない」ことにしたそうである。第3回学生対抗ロボット大会は、血で血を洗う(?)同門対決が非常に盛り上がった内容であった。ぜひ、先輩の機体を奪いたいと思っている学生は、第4回に先輩も誘って参加し、下克上を目指してみてはいかがだろうか!? もちろん、ガチンコの大学対決も見てみたいので、次回はぜひ各大学のロボット系サークルにもっと大勢参加してみてほしい。