イクシスリサーチの超音波探傷ロボ「SAUT ROBOT」
忍者のように逆さで貼り付いて橋梁の内部を点検
株式会社イクシスリサーチ、財団法人首都高速道路技術センター、株式会社ホルス、テクニカルリンク株式会社の4社は11月08日、高速道路などの橋梁の構造物である鋼床版の超音波検査を行なえる有線式の遠隔操縦ロボット「SAUT ROBOT」(SAUT:Semi Automatic Ultrasonic Testing=鋼床版半自動超音波探傷装置)の発表を行った(リリースはこちら)。
近年、首都高のトラフリブ形式と呼ばれる既設の鋼床版箱桁橋に、デッキプレートとトラフリブの溶接部に疲労亀裂が数多く見られるようになってきており、問題になっている。生じる亀裂は2方向に分かれるのだが、デッキプレート板厚方向に進展した場合、舗装に何らかの変化が生じない限り外面からの確認は不可能となっているため、非常に厄介な問題だ。
しかも、舗装に異常が発見された時には、疲労亀裂がデッキプレートを貫通してしまっているため、鋼床版に対して大きなダメージを与えてしまっている可能性も高い。そのため早期発見が何よりも重要で、首都高速道路株式会社ではこれまでも人がセンサを押し当てて探傷するタイプのSAUTを開発し検査を行ってきた。ただし、足場を架設する必要があり、なおかつセンサを検査対象部ごとに接触させないとならないなど、どうしても費用がかかったり、効率的でない部分があったのである。そうした理由から、探査ロボットが求められていたというわけだ。
SAUT ROBOTは、永久磁石を搭載しており、鋼床版デッキの背面に逆さまの状態で吸着し、デッキ面上にあるビード溶接部などの凸部を走破しながら、超音波による探傷をを行う。SAUT ROBOTの導入によるメリットは、足場架設の費用と工期の圧縮を行えることがまずひとつ。さらに作業員の負担を軽減できる上に、ロボットならではの一定品質での検査結果の取得が可能になることだ。
なお、11月11・12日に東京ビッグサイトで開催される「ハイウェイテクノフェア2010」の首都高グループブース内で、翌週17日から19日まで同じく東京ビッグサイトで開催される「メンテナンス・テクノショー2010」のイクシスリサーチブース内にて、実機が展示される予定だ。また、スペックは以下の通りだ。