TOP >  最新ニュース >  先週のニュース >  ニュース記事2011年08月21日-b

地上600mを目指した「第3回宇宙エレベーター技術競技会」
総合優勝は個人参加の「Aquarius」!

8月04日から8日かけて、一般社団法人宇宙エレベーター協会の主催で、「第3回宇宙エレベーター技術競技会」が静岡県富士宮市 大沢扇状地開催された。年1回ペースで開催される技術競技会で、バルーンからつり下げられたテザーやロープを伝って、設定された高さまで昇っていくそのタイムを競う内容だ。毎年倍になる設定で、今年は高度600mがゴールである。

600mまで到達できたロボットはいなかったのだが、500mを突破したクライマー(エレベーターロボット)は2台が出た。中でも、個人参加の「Aquarius」は、533mを39秒、450mを27秒という記録を出した。また、これまでの高出力モーターによる昇降という概念を覆す1.5kWモーター2個による新たな駆動機構を提案したことと、クライマーをテザーにセットするインストール作業を素早く行える合理的な機構を実現したことが高く評価され、総合優勝となった。また、メンテナンス賞も受賞している。

準優勝は、560mを1分3秒かけて登頂し、今回最も高い位置まで到達した個人参加の「チーム奥澤」が獲得した。上昇下降時の速度制御を実現させ、またプレゼンテーションにおいて多様なロギングデータ(速度、加速度、クライマー姿勢、昇降時映像など)を示したことも評価されての準優勝である。なお、多機能賞も獲得している。

総合第3位は、日本大学理工学部青木研究室「青木研PLUS」。450mを4分19秒で昇った。また、昇降総時間は9分14秒という点も評価されている。チーム奥澤同様に、プレゼンテーション時に高度、速度、電流電圧値、昇降時映像などのロギングデータを提示した点も高評価の要因となった。同時に制御賞も受賞している。

総合4位的なポジションに値する、耐環境賞と信頼・安全賞のふたつを受賞したのが、300mを1分11秒で昇った神奈川大学江上研究室「江上研A」。主な評価ポイントはふたつある。ひとつは、車輪押付力自動調整機構を搭載しており、テザーのねじれや折れ、曲げに対しての耐環境性能の高さを示したこと。そしてもうひとつが、電磁ブレーキの採用により緊急停止対策をより安全に実現し、バッテリー切れ対策についても合理的なシステムを構築していた点だ。

来年は、基本方針の「ゴールの高度は前回の倍」を守ると、遂に1kmを突破することになる。はたしてそれが可能かどうか、期待したい。

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