編集長コラム「デイビーのひと言」番外編:主催者
吉日石川氏に聞く「ホビーロボットコロッセオ」の見所
9月03日(土)・4日(日)は、静岡県コンベンションアーツセンター グランシップ内大ホールにて、日本中のホビーロボット競技会が集結する一大イベント「ホビーロボットコロッセオ」が開催される(記事はこちら)。「第50回SF大会ドンブラコン エル」の一イベントとして開催される予定だ。
そこで、主催者の吉日石川氏にミニインタビューを試みたので、掲載がギリギリになってしまったが、その見所について改めて教えていただく。(インタビューでの敬称は省略させていただきました)
-:改めて、ホビーロボットコロッセオの見所を教えていただけますか。
石川:日本中で開催されている二足歩行ロボット、多脚・車両型などのホビーロボットの競技会・イベントが大集合している点ですね。100%すべて揃えるのは残念ながら力が及ばなかったのですが、北は山形から南は九州まで、全部で17の競技・イベントを開催します。遠隔地の大会にはなかなか参加できませんから、今回観戦したり体験してもらったりして、その大会に参加する人が増えてくれると嬉しいと思っています。
-:現在、何名、何体のロボットがエントリーされていますか。
石川:参加者数で45名、ロボット数で73台ですね。競技が異なるとレギュレーションの関係で同じロボットでは参加できないことも多いので、複数台持ち込む人が多数います。
-:そもそも、何がきっかけで、こんな大きなお祭りを思いついたのでしょうか。
石川:日本SF大会で、4000人収容可能な大ホールが空いていて、タダで使えるという話を聞いたのがきっかけですね。知名度がまだまだ低いホビーロボット界ですが、ビジネスショーみたいに各地方大会を一堂に会して大会を行えば、認知度の向上や参加の促進を図れるかなぁと思っていたので、地理的にいって日本の中央に近い静岡県開催なら、全国各地から参加しやすいのではないかと思い企画しました。準備の大変さが尋常じゃないので、今は言い出したことを後悔しています(爆)。
-:本当に大変そうですよね。
石川:でも、自分はとても恵まれていて、イベントを企画すると一肌も二肌も脱いでくれる仲間たちがたくさんいますので。本当にありがたいことです。
-:石川さんが個人的にで結構なのですが、中でも要注目の競技はありますか?
石川:どれも面白いので、すべてが要注目ですね。でも、あえて挙げるとすれば、ひとつは「ROBO-SOCCER」があります。一般的にロボットサッカーといえば、3対3で行われているのですが、今回は11対11のフルサッカーの実現を目指して参加者を募集しています。
-:それは楽しみですよね。ぜひ実現してほしいです。
石川:参加者の人数的には問題ないわけですが、サッカーはサッカーで独特のモーションとか必要ですから、経験者じゃないとモーションを新たに作製したりする必要があるので、今のところ11対11が確定していない状況ですね。
-:確かにシュートモーションとか、スローインモーションとか。キーパーも独自のモーションを用意する必要がありますね。
石川:でも、とにかく今回は、ROBO-SOCCERの責任者の方がサッカー経験者である点もポイントですね。これまでは、「ロボットでサッカーをやる」という、ロボットが主体だったわけですが、今回は「サッカーをロボットでやる」という、サッカーがまずありき、という形でいろいろと考えてくれています。
-:ぜひ実現して、ギネス申請していただきたいです。
石川:(笑)。ROBO-SOCCERは初日の16時45分キックオフの予定です。
-:ほかには何かありますか?
石川:大日本技研主催の「ロボでサバゲ!」も個人的には要注目だと思っています。基本的に、ほかの競技はすべて二足歩行ロボットによるものなのですが、この競技だけは多脚型やクローラ型、車両型など、基本的に人型以外のロボットの大会となっています。しかも、BB弾で撃ちあうという内容で、要するにロボットでサバイバルゲームをするというものですね。
-:安全性の面は大丈夫ですか?
石川:BB弾の流れ弾が外に飛ばないよう、フィールドを蚊帳のようなもので覆いますので大丈夫です。観戦は、その蚊帳の外からという形になります。
-:BB弾の威力も弱い電動ガンとか使ってますしね。でも、流れ弾を浴びたことありますが、痛いです(笑)。
石川:あの、電動ガンの「タタタタタッ」ってBB弾を撃ち出す音は、たぶん男性の心を鷲づかみにするんじゃないかと(笑)。しかも、中にはアニメ「攻殻機動隊」のタチコマのような、足でも移動できるし車輪でも移動できるしというような、高機動型のロボットなんかもいますから、なかなか面白いと思いますよ。ロボでサバゲ!は初日は16時から「殲滅戦・フラッグ戦」が行われ、2日目は11時から「要塞戦」と2回行われます。
-:今のふたつはどちらかというと東側の競技ですが、西側で行われている競技では何か注目のものはありますか。
石川:機材が多いのに無理をして参加していただいた、ロボ・アスレチック「ソード7」は観戦しないと損ですね。大阪のロボットフォースが主催する競技会ですので、おそらく今後はもう関西地区以外で開催されることはないと思います。なので、大阪までなかなか足を運べないという人には、観戦する少ないチャンスです。
-:凝った仕掛けを突破して、ゴールまでのタイムを競い合う内容でしたね。
石川:エレベーターだとかターンテーブルだとか、かなり凝った仕掛けになっていますので、機材が多いんです。今回も車2台に積んできてくれます。とにかく、頭ではわかっていても思わぬハプニングが起きてうろたえる操縦者の表情や仕種に注目してほしいです。
-:一度取材したことがありますが、ロボットを思った通りに動かすだけでも大変なのに、坂道だったりエレベーターがあったり、動く障害物があったりで、ロボットがなかなか動かなかったり、予想してない動きをして、本当に「ちょっと待て!」みたいなのがあって、面白かった記憶があります。
石川:それから、九州ロボット練習会主催の「YOKAロボまつり ブレイザー」も面白いと思います。レーザーで撃ち合うんですが、スモークを焚いて暗くした中でプレーすると、赤いレーザーの軌跡が非常にきれいで、SFの世界ですね。
-:SF大会らしい競技というわけですね。
石川:ただバトルをするだけでなくて、どの競技もいろいろと工夫を凝らした内容になっていますので、朝から晩まで見ていただいて、決して飽きないと思います。無料ですので、ぜひお近くの方は観戦に来て下さい。首都圏からもそれほど遠くないので、ぜひお願いします。また、諸般の事情で来場は無理という方は、ぜひUSTREAMで配信しますので、そちらでお楽しみいただければと思います(こちら)。
-:では、最後に読者の方に向けたメッセージをお願いします。
石川:ホビーロボット界はまだ競技人口がまだまだ少ない上、参加者同士がほぼ顔見知りという村社会のようなところです。和気あいあいとバカ話に興じる中、初参加でひとりで仲間入りするのは勇気がいります。でも、ホビーロボットで遊ぶ人たちは、基本的に「見せたがり」「語りたがり」「教えたがり」です。1を質問すれば、聞いてもいないのに10も返してくれる人種です(笑)。「ロボットに興味があるんですけどー」、「ロボット始めようと思っているんですけどー」などと言ってくれれば、みんな無条件に迎え入れてくれます。怖くないよー。まぁ、クセの強い人はいっぱいいますけどね(笑)。ぜひ、興味のある方は今回観戦していただいて、ホビーロボット界に足を踏み入れて下さい。待ってます!
-:どうもありがとうございました。運営、大変かと思いますが、がんばってください。自分も2日間べったりはり付いて取材しますので。
というわけで、かなり大変な状況になっている中、ミニインタビューに答えてくれた石川氏。世界初の二足歩行ロボットによる11対11を目指すROBO-SOCCERはもちろん、これだけの競技会が日本各地にあり、それが集まるということ自体がそうそうないことなので、ぜひ見に行ってみてほしい。