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TOP >  サイエンス・テクノロジー >  サイエンス >  記事2010年09月13日-a

H-IIAロケット18号機、打ち上げ成功!
準天頂衛星初号機「みちびき」正常飛行中

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【お詫び】当記事を最初に掲載した際、GPS衛星を「赤道上空を周回する静止衛星」と誤った解説をしました。お詫びいたします。GPS衛星は正しくは高度約2万km、軌道傾斜角55度、12時間で地球を1周するというまったく異なる軌道を通っております。

宇宙航空開発機構(JAXA)は11日、三菱電機株式会社とJAXAが開発した準天頂(測位)衛星初号機「みちびき」について、9月11日20時17分00秒、H-IIAロケット18号機によって種子島宇宙センターから打ち上げたことを発表した。ミッションは順調に進み、リフトオフから28分27秒後にはみちびきを無事分離したことを確認。みちびきは人工衛星としての活動を開始した。H-IIA打ち上げ時の天候は晴れ、西南西の風、風速は3.7m/s、気温は26.0度。

また、12日に入ってからは、チリのサンティアゴ局で受信したテレメトリデータにより、太陽電池パドルの展開が正常に行われたことも発表。発生電力は6.7kw(計画値:6.4kw以上)と発表された。さらに、12時02分には第1回アポジ(姿勢制御・軌道制御)エンジン噴射を、オーストラリアのパース局からの指令により、67分間実施した。こちらもテレメトリデータにより、正常に行われたことが確認されている。

なお準天頂衛星とは、日本の真上(天頂)を通過する軌道を通るものをそう呼ぶ。今回、なぜみちびきが準天頂軌道で打ち上げられたかというと、GPS衛星を補完するためである。現在、カーナビでお馴染みのGPS衛星は、日本からだだと南の方向にアンテナを30~50度程度に傾けないと信号を受信できないという弱点を持つ。そのため、高層ビル街や山間部などでは測位を行なう際に必要な数のGPS衛星を見通せない(信号が届かない、または反射波などで妨害されてしまう)ということがあり、不正確なナビゲーションになってしまうことがあるというわけだ。そんなGPSの欠点を補完すべく、みちびきは日本上空を通過する軌道を採用し、真上に近い角度から信号を送信するのである。正確な位置検出には、GPS衛星4機からの信号が必要だが、1機からの信号が届かなくても、みちびきがフォローしてくれるという仕組みなのだ。

ただし、準天頂衛星は日本上空に24時間居続けることはできない。軌道が斜めに傾いていることから地球の自転によって南北にずれていってしまうためで、日本上空に滞在できるのは7~9時間と限られている。そこでみちびきには、少しでも滞在時間を長くできる「非対称の8の字」軌道が採用された。準天頂衛星は地上からその軌道を見ると、円軌道の場合は赤道を挟んで南北に対称に8の字を描き、楕円軌道になると8の字の片側のダンゴが小さい非対称8の字となる。みちびきは楕円軌道の地球から最も離れる時(遠地点)がちょうど日本上空になるようにしてあり、より長い時間日本をカバーできるのである。

ちなみに、さらに離心率が大きくなる(より楕円になる)と、8の字の片側のダンゴがほぼつぶれ、涙型の軌道となる。涙型は非対称8の字よりもさらに日本上空での滞在時間が延びるのだが、みちびきは国外(アジア・オセアニア地域)でのサービスも予定しているため、外国の上空を通過する際に非常に時間が短くなってしまって使いにくくなるため、最終的に非対称8の字軌道が採用されたという次第である。そのほか、非対称8の字軌道とすることで、放送衛星として利用する際にも衛星から衛星への切り替えが行いやすいというメリットも持つ。そして、24時間必ず1機が日本上空にいるようにするためには3機が必要になることから、準天頂衛星システムはあと2機の打ち上げが計画されている。

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以下は、打ち上げシーケンスで、事象に対する実測値(詳細データ評価前の速報値)。カッコ内のタイムは18号機用のエンジン性能などの実測データを反映した予測値(「打ち上げ計画書」に記載されている計画値とは異なる)。

【H-IIAロケット18号機 打ち上げシーケンス】
1.リフトオフ:0分0秒(予測値:0分0秒)
2.固体ロケット・ブースタ燃焼終了:1分33秒(1分38秒)
3.固体ロケット・ブースタ分離(スラスト・ストラット切断):1分47秒(1分48秒)
4.衛星フェアリング分離:4分18秒(4分12秒)
5.第1段主エンジン燃焼停止(MECO):6分42秒(6分37秒)
6.第1段・第2段分離:6分59秒(6分51秒)
7.第2段エンジン第1回始動:6分59秒(6分51秒)
8.第2段エンジン第1回燃焼停止:12分36秒(12分34秒)
9.第2段エンジン第2回始動:24分43秒(24分36秒)
10.第2段エンジン第2回燃焼停止:27分36秒(27分35秒)
11.みちびき分離:28分27秒(28分25秒)

この後、みちびきの運用計画は、約10日後にトランスファー軌道(本来の軌道に乗せるまでの一時的な軌道)フェーズ終了となり、約2週間後にはドリフトフェーズ(準天頂軌道に乗せるための軌道の微調整期間)が終了して準天頂軌道に投入完了となる。そして3ヶ月後には、初期機能確認の終了、技術実証実験および利用実証実験の開始となる予定だ。

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