科学技術館「いきものから学ぶロボット展」22日まで
生き物的なロボットたちが集合、パフォーマンスも
皇居に近い北の丸公園にある科学技術館では、8月07日から22日まで、2010年夏休み特別展として、「いきものから学ぶロボット展」を開催中だ。生物からアイディアを得て形状を決定したり、機能を備えたりしたロボットたちを中心に紹介するというコンセプトのイベントだ。会場は同館2階のイベントホール。特別展の閲覧に別途料金などは必要なく、同館の入館料のみで可能だ。
今回の展示では、科学技術館としてはこれまであまり縁がなかったという、独立行政法人産業技術総合研究所(以下、産総研)が全面協力。1日から3日ぐらいのローテーションで、会場内の特設ステージで最先端のロボットによるパフォーマンスを日に3回実施すると同時に、そのロボットの研究者・開発者による解説が行われた。
なお、12・13日には産総研で開発しているヒューマノイドロボットの最新モデル(第4世代)「HRP-4C“未夢”」(画像01・02・03)が登場。しかも、同イベントには展示のみだが第3世代のプロトタイプの「HRP-3P」(画像04)も来ており、同館4階のNEDOの展示室「NEDO-Future Scope」に常設展示されているメカ・キャラデザイナーの出渕裕氏がデザインした第2世代「HRP-2」(画像05)と、ベースはホンダのプロトタイプ「P3」である第1世代「HRP-I」(画像06)も合わせると、HRPシリーズ4世代が集合するというレアな2日間となった。ちなみに、HRPとは、ヒューマノイド・ロボット・プロジェクトの略である。そのほか産総研からは、以下のロボットが出展されてパフォーマンスを行った(もしくは出展予定)。
・全方位マイクロホン搭載自律移動ロボット「Pen2」(デジタルヒューマン工学研究センター)
・小型・軽量パーソナルモビリティ「産総研マイクロモビリティ」(知能システム研究部門)
・サイバネティックヒューマン「HRP-4C“未夢”」(知能システム研究部門)
・上肢障害者生活誌援用ロボットアーム「RAPUDA」(知能システム研究部門)
・変形ロボット「M-TRAN」(知能システム研究部門)
また産総研以外にも、東京工業大学(以下、東工大)広瀬・福島研究室からは脚‐車輪ハイブリッド型四足歩行ロボット「Roller-Walker」、全方位移動車両「The VUTON」、教育用ヘビ型ロボット「ACM-E1」(以上3機とも7日)の3機が、サイバーステップからはエンターテイメントロボット「CR-01」が、takram design engineeringからは六足歩行ロボット「Phasma」(画像12)が出展(もしくは出展予定)。18日現在、期間は残り少ないが、今後の出展予定は以下の通り。
・18日(水)/19日(木):変形ロボット「M-TRAN」(産総研知能システム研究部門)
・20日(金)/21日(土):エンターテイメントロボット「CR-01」(サイバーステップ)
・22日(日):六足歩行ロボット「Phasma」(takram design engineering)
ロボットパフォーマンスの実施時刻は、10時30分から11時、13時30分から14時、15時30分から16時。なお、特別ステージに登場したロボットに関しては、また同イベント終了後に改めて別記事で紹介する予定だ。
展示ロボットに関しては、最も出展数が多かったのが、東工大広瀬・福島研究室のロボットたち。同研究室のロボットたちは、生物を模倣した形のものが特に多く、ヘビ型ロボットたちは全長も長いということもあり、特に圧巻。動いている映像も流されているのだが、水陸両用ヘビ型ロボット「ACM-R5」などは、もはやSF映画「ターミネーター4」に出てきた「ハイドロボット」の元ネタになったのではないかというぐらいすごい。水中でウミヘビのようにグネグネと動き回り、あまりにも生物っぽいその動きに、怖くなってしまうほどだった。同研究室から展示されたロボットは以下の通り。
・空圧駆動型跳躍歩行ロボット「AirHopper」(画像09)
・水陸両用ヘビ型ロボット「ACM-R5」(画像10)
・親子型惑星探査ローバー「SMC-Rover」(画像11)
・完全自立型索状能動体「ACM-R3」
・空気圧駆動型索状能動態「Slim Slime」
・教育用ヘビ型ロボット「ACM-E1」
・恐竜型二足歩行ロボット「TITRUS」
・瓦礫内推進連結クローラ走行車「蒼龍I号機」
・瓦礫内推進連結クローラ走行車「蒼龍V号機」※17日まで展示
・クローラ型レスキューロボット「HELIOS-VIII」※17日まで展示
・全方位移動車両「The VUTON」
・脚‐車輪ハイブリッド型四足歩行ロボット「Roller‐Walker」
・魚型1自由度移動体「魚太郎3号機」
このほか、産総研からは、以下の3機とひとつのシステムとひとつのソフトを展示。
・実環境労働用試作ヒューマノイド型ロボット「HRP-3P」(知能システム研究部門)
・実環境自律行動及び全身運動研究用ヒューマノイド「JSK-H7」(デジタルヒューマン工学研究センター)
・セラピー用アザラシ型ロボット「パロ」(知能システム研究部門)
・高機能3次元視覚システム「VVV」(知能システム研究部門)(画像14)
・ヒューマノイドロボットのための演技指導ソフト「V-Sido」(奈良先端科学技術大学院大学との共同開発
当サイトのインタビュー記事「ロボット業界で活躍する女性たち」の第1回に登場していただいている、中川友紀子氏のアールティも以下の3点を出展。その内の1機は、まだ発売されていない新製品のプロトタイプなので、意外な穴場となっている。
・ハーフサイズマイクロマウス「Pi:Co」
・フルサイズマイクロマウス新製品(11月発売予定)(画像13)
・犬型4足歩行ホビーロボット「G-Dog」(HPI Japanから移管)
そのほか、最終日にパフォーマンスを行なうtakram design engineeringの六足歩行ロボットPhasmaも展示中だ。
・スクローラーII(材料費2500円、対象年齢8歳以上、各日12名)
19、21、22日10:30~11:30
・メデューサ・ネオ(材料費3000円、対象年齢10歳以上、各日12名)
19、21、22日13:30~15:30
・工作コーナー「トコトコ・ロボットを作ろう」(材料費500円、対象小さなお子さん)
18~22日10時~11時30分、14時~15時30分
・PC教室「Modulobe(モジュローブ)で遊ぼう」(参加費無料、対象WindowsPCの操作が可能な方、各回12名)
18、19日11時30分~12時、14時30分~15時
さらに会場のすぐ外では、「ルンバ577」(セールス・オンデマンド)、「Robo Cleaner SZ-300」(太知ホールディングス)、「FALTIMA 031」(ガイズ)などの掃除ロボットの実演も行われており、お母さんとお子さんで遊びに来ても親子それぞれ別々に見るものがあるという工夫もなされている。