ワイヤレスゲームパッドでコントロール可能!
恵比寿電機製4chモータドライバ「AT32PWM」
南国の四国は高知県土佐市に本社を構える有限会社恵比寿電機。アナログ回路からFPGAの回路設計、CPUのプログラム、PC用関連アプリケーションなど、ハードからソフトまで一貫して自社開発しているものづくり系企業で、ロボットへの応用が可能な製品の開発も行っている。今回紹介するUSBホストデバイスコントローラを搭載した4chモータドライバ「AT32PWM」(公式サイト)もそのひとつだ。
AT32PWMの最大の特徴は、USB 2.0フルスピード対応で、OTG(On-The-Go)機能を搭載していること。要は、市販のUSBを利用したワイヤレスゲームパッドなどを接続することができ、遠隔操縦型のロボットの開発などを開発しやすいということだ。現在のところ動作確認が取れているUSB対応ワイヤレスゲームパッドは、株式会社HORI製PLAYSTATION 3用「ワイヤレスホリパッド3ターボ ブラック(HP3-80)」およびそのカラーバリエーションの「ワイヤレスホリパッド3ターボ ブルー(HP3-81)」(ともに税込み価格は4179円)、ロジクール製Windows用「Logicool Cordless Rumblepad 2」(税込み価格は4980円)、同じく「Logicool Wireless Gamepad F710」(税込み価格は4980円)の4製品となっている。そのほかのゲームパッドに関しても利用は絶対に不可というわけではなく、プログラムを書き換えることで動作するということだ。また、USB対応製品なら多くのものが接続できるので、もちろんキーボードやマウスなども利用可能。AT32PWMは、作業のためのインターフェースも整っているというわけだ。なお、ゲームパッドは同梱ではなく別売りなので、その点はご注意いただきたい。
AT32PWMは出荷時にサンプルプログラムが書き込まれており、すぐにロボットなどに取り付けての利用が可能だ(画像3)。また、USB接続の仮想シリアルポートやUSARTを使用するモータコントロールも可能で、PCと接続すればPCからのモータ制御を行なえる。さらに、USARTにXbee無線モジュールを接続することで、PCからワイヤレスでのモータ制御も行なえる仕組みだ。
そのほかの特徴としては、1軸のジャイロセンサを搭載している点も挙げられる。それにより、車輪走行を行なうロボットなどの角速度の制御にも応用可能。さらに、連続負荷電流が最大5AのHブリッジ方式(単一電源でモータに加える電圧の向きを変えられる=回転方向を自由に逆転させられる構造の制御回路)のドライバを4個搭載していたり、アクティブカレントリミット機能(規定以上の電流が流れると回路保護のために一時的に電流がシャットダウンされ、下がれば復帰する機能。同製品は5A以上で働く)、短絡検知、加熱保護機能も有する。保護機能に関しては、10A以上の大きな電流が流れると、ドライバがシャットダウンする仕組みだ。そして出力電流を検出できるカレントフィードバック機能も備えており、モータのトルク制御に使用可能だ。また、低オン抵抗で120mΩと抑えられている。
それらに加え、開発環境がフリーで整えられるのもポイント。搭載CPUの開発メーカーである米Atmel社製フリーの統合開発環境「AVR32 Studio」を利用可能だ。こちらのページからダウンロードが可能で、そのほかに2本のフリーの関連ソフトもインストールする形となる。AVR32用Cコンパイラ・リンカ・アセンブラなどを扱う「AVR32 GNU Toolchain」、プログラムダウンローダの「Flip」だ。これらは、AT32PWM公式サイト上に用意されている、無償マニュアルのひとつ、「ソフトウェアインストールガイド」に詳細が説明されており、ユーザーの利便性も考慮されている。なお、そのほかに「ハードウェア」、「ソフトウェア」、「サンプルプログラムマニュアル」、「シリアルコマンドフォーマット」、「AT32PWM基板の使用の注意点」の5つのマニュアルを無料でダウンロード可能だ。また、ドライバの購入者には、サンプルプログラムのソースコードやPC用アプリのソースコード一式が公開される点もポイント。
AT32PWMの使用例としては、製品公式サイト上に株式会社土佐電子製オムニホイールロボットに搭載した映像が用意されている。特殊な構造の複数のホイールを動かすことで前後左右に自在に動けるオムニホイールの、各車輪の回転をワイヤレスゲームパッドで自由にコントロールしたり、実際に廊下でオムニホイールロボットを走らせたりしている内容の2本がアップ済みだ。今後も、使用例は順次増やしていく予定。
気になる価格だが、3万4800円(税込)。現在は在庫ありなので素早い納期が可能となっている。興味のある方は公式サイトからまずはメールで問い合わせてみよう。また、スペックは以下の通りだ。