菊池製作所、小型で安価なレスキューロボット
「ミニレスキューロボ」(仮)を発表
東京消防庁のレスキューロボット・新型(2代目)「ロボキュー」の開発を担当した菊池製作所(東京都八王子市美山町2161-21)は5月06日、ロボキューで得たノウハウを活用したより電動式の小型レスキューロボット「ミニレスキューロボ」(仮)を開発したことを発表した。
ミニレスキューロボの特徴は、全長2310mm×全幅810mm×全高1450mm・重量320kgというコンパクトなボディ(2代目ロボキューは1900mm×1200mm×1600mm・1500kg、ミニレスキューロボは前後に細長い)を採用している点がひとつ。さらに、独立したクローラを前後に2基備えているので、取り回しがいいことも挙げられる。最小回転半径は機体の長さ分のみの約1.5mで、前後進や左右への旋回だけでなく、その場旋回や平行移動も容易に行なえる。なお、階段も含めて30度以下なら登坂も可能で、がれきが散乱するような災害現場や、狭い建物内でも活動可能だ。
要救助者の収容はベルトコンベア方式で行われ、胴体中央部に1名を乗せられる。ロボキューで開発されたベルトコンベアが回る速度とクローラが回る速度が逆回転で同調して連動する機構「二重クローラ」をミニレスキューロボでも採用しており、要救助者を押してしまうだけでいつまで経っても収容できないということがない仕組みになっている。また、女性のように髪が長いとクローラに絡まってしまいそうなイメージがあるが、ダミー人形にかつらをかぶせて実験したところ、よほど長くない限りは特に問題なく収容できたそうだ。
通常の操縦は、立ってプレーするタイプのゲーム機の筐体程度のサイズをした制御卓で行う。そのほか、ハンディタイプの「補助ボックス」も利用可能。有線と無線の両方で操縦が可能で、有線の場合は100m、無線の場合は見通せる(直接見える)ことが条件で50m。制御卓にはモニタが備えられており、ミニレスキューロボの前後に計2基備えられた広角レンズカメラでとらえた映像が映し出される。なお、カメラは死角が極力なくなるよう、前部は左側に、後部は右側に中央オフセットされて設置されていた。
なお、ミニレスキューロボは兄弟機のロボキューのようにロボットハンドを備えていない。その理由を同社常務取締役の齋藤弘己氏に伺ったところ、「制御用の基盤などを備えるとボディの大型化が避けられず、また車両価格も高くなってしまうため、今回は外しました。小型化と車両価格を抑えることを目標として開発しています」と語ってくれた。車両価格については、「全国の消防署に1台ずつ配備してもらえるように、価格は消防車よりも安価な1500万円以下に抑えるつもりです」としている。スペックは以下の通り。